事業主基準について

所得税法12条で帰属主体を判定する際に上記基準を用いると思いますが、これは事業所得の意義から判断するという考えなのでしょうか。
2017年11月11日
選択科目 - 租税法
回答希望講師:宮崎貴博
回答:1

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宮崎貴博の回答

ご質問を有難うございます。以下、回答をさせて頂きます。

所得税法12条で帰属主体を判定する際に事業主基準を用いるのは仰る通りです(最判昭37.3.16)。

事業所得の帰属が争われた裁判例では、店舗の賃借や営業許可、クレジット加盟店契約などの名義に加え、出資の状況、資金の調達、収支の管理、従業員に対する指揮監督などを判断要素として、経営主体としての実体を有する者あるいは事業の経営方針につき支配的影響力を有する者に帰属するとしており、様々な要素から総合的に判断されている。

ですので、事業所得の意義から判断しているわけではありません。あくまで所得の帰属をさせるのは誰が相応しいかという視点であり、所得分類とは異なった視点から考えられていると思われます。

ですので、事業主基準以外にも、不動産所得、利子所得などの他の所得でも12条を判定する考慮要素があります。

参考になりましたら幸いです。

2017年11月17日


匿名さん
H23租税法第1問の法学セミナー解説(及び解答例)では、支配的影響力を事業所得の意義から導き出しているようにも読めるのですが、これは吉村教授の独自説であまり一般的ではない見解なのでしょうか。

2017年11月17日

ご質問を有難うございます。H23租税法第1問の法学セミナー解説(及び解答例)は確認できませんでしたが、私見を述べます。H23年では事業の独立性、従属性を判断させるような事実関係が多く記載されていました。事業主基準において、事業所得の意義を一つの考慮要素としているのであり、意義からそのまま支配的影響力を導き出しているとは解しておりません。もちろん、利子所得や不動産所得においても同様の問題になると考えております。吉村教授のような説はあまり聞いたことがないというのが私の見解になります。

2017年11月20日


匿名さん
失礼しました、正確には「別冊法学セミナー」の司法試験の問題と解説2011の租税法部分です。改めて読み直したところ、元ネタとなっている高裁判例の地裁が、事業所得が前提とする「事業」概念から事業上の決定に対する独立性→支配的影響力と導いているようです。この考えを現在の試験委員の吉村教授が説得的と評し、解答例で用いています。法律的帰属説が法律上誰に帰属しているかを重視する考えであることを考えると、各所得の意義から考えることは論理的で説得的とも思えます。しかし、一般的な考えではないのであれば、司法試験委員の考えとはどのように付き合っていけばよろしいでしょうか。

2017年11月20日