刑法 中止行為のあてはめについて

放置しても結果発生の危険が生じない場合には、発生防止の努力は無用なのでしょうか。
例えば、致死量の半分の毒の投与や刺殺目的であったが、腕にかすり傷を負わせた程度の暴行など。
致死量の半分の毒の投与ですと、死にはしないが体調不良になったりしますし、刺殺目的であったが、腕にかすり傷を負わせた程度の暴行の場合であっても、死にはしないが腕の治療必要だと思います。
殺害目的の場合、中止行為だといえるには、死の結果発生防止に必要な分だけ努力すれば、とりあえずは良いのでしょうか。よろしくお願いいたします。
未設定さん
2017年9月20日
法律系資格 - 司法試験
回答希望講師:久保田康介
回答:1

ベストアンサー ファーストアンサー
久保田康介の回答

刑事法(刑法や刑事訴訟法など)はそこまで詳しくありませんので、詳細な回答をお求めであれば、他の講師にご質問されるのがよろしいかと思います。

結果発生防止の努力は中止行為と結果不発生との因果関係の要件で議論されており、放置しても結果発生の危険が生じない場合には、それ以上行為をしないだけで「中止した」ことになります(新基本法コンメンタール刑法・144頁など)。
他方で、結果発生を防止するために何かしらの措置が必要となる場合には、自らそうした措置を講じるか、自身が結果発生の防止にあたったと同視するに足りる程度の努力が必要とされます。その際、行為者にとってできる限りの努力が必要とされます。

ですので、殺害目的の場合、死の結果発生防止に必要な分の努力をしたときだけでなく、それに満たずとも行為者においてできる限りの努力をしたというときでも、中止したといえることがあります。

2017年9月21日