前訴確定判決の既判力が後訴に及ぶというためには、一般に①訴訟物同一、②先決関係または③矛盾関係になければならないとされるのはご存知かと思われます。そして、先決関係にあるというためには、(少なくとも司法試験・予備試験レベルでは)前訴訴訟物の有無が後訴の主要事実の一つを構成するという関係になければなりません。
質問欄の設問でのYの主張は権利侵害または故意の要件に関する主要事実の主張だと考えられますが、当該主張の強制執行をしたという点に関しては、前訴確定判決における訴訟物が存在するとの判断により正当化されるといってよいと思います。そのため、先決関係にあるとすることは可能だというのが僕の理解です。
2017年2月22日