既判力が及ぶ場面について

旧試民訴平成12年第2問設問2において、後訴に既判力が及ぶ理由として、先決関係にあるとすることは可能ですか。このように考えたのは、後訴における請求原因事実において、判決の不当取得を主張するとなると、前訴訴訟物の存在が先決関係に立つことになると考えたからです。
2017年2月22日
民事系 - 民事訴訟法
回答希望講師:久保田康介
回答:1

ベストアンサー ファーストアンサー
久保田康介の回答

前訴確定判決の既判力が後訴に及ぶというためには、一般に①訴訟物同一、②先決関係または③矛盾関係になければならないとされるのはご存知かと思われます。そして、先決関係にあるというためには、(少なくとも司法試験・予備試験レベルでは)前訴訴訟物の有無が後訴の主要事実の一つを構成するという関係になければなりません。

質問欄の設問でのYの主張は権利侵害または故意の要件に関する主要事実の主張だと考えられますが、当該主張の強制執行をしたという点に関しては、前訴確定判決における訴訟物が存在するとの判断により正当化されるといってよいと思います。そのため、先決関係にあるとすることは可能だというのが僕の理解です。

2017年2月22日


匿名さん
ご回答ありがとうございます。本問のような場合に、既判力が及ぶことを前提として解説されていることがあったり、また、先決関係以外の理由で既判力を及ばせていることもあり、戸惑っていました。先決関係もありうるということでしたので、安心しました。

2017年2月22日

補足ですが、先決関係と捉えることは可能ではあると思いますが、矛盾関係と捉えるのが最も素直なのではないかと思います。演習系の本では、既判力が及ぶことを前提とした記載がよくみられますが、その前提について真剣に考えるのはいい取り組みだと思います。書いてなくてもめげずに頑張ってくださいね。

2017年2月25日


匿名さん
やはり矛盾関係が自然ですか。矛盾関係だと抽象的な表現になりがちで、避けたのですが、もう一度矛盾関係についても検討してみようと思います。
起案をしていた際に、訴訟物が異なるので、まずは既判力が及ぶ話をしないと飛躍しているように思い、気になっていました。ありがとうございます。頑張ります。

2017年2月26日