弁論主義の適用範囲の論じ方

弁論主義が問題となる答案作成の際に、「弁論主義の適用範囲を論じる実益があるのは、当該事実が主要事実か間接事実かが問題になる場合であり、上記の区別を論じてから弁論主義の適用範囲について論じるべきである」との指摘を受けたのですが、弁論主義の適用範囲を論じて、主要事実と間接事実の区別を論じるのでは論理的に順序が逆なのでしょうか?

加えて、主要事実と間接事実の区別をどのように論じればよいのでしょうか?

ご返信をよろしくお願いします。
未設定さん
2016年1月15日
その他 - その他
回答希望講師:久保田康介
回答:1

ベストアンサー ファーストアンサー
久保田康介の回答

ご指名ありがとうございます。

僕は、ご質問内の指摘部分(鍵かっこ部分)は正しいとは思えません。
なぜなら、「主要事実に適用がある」というのも弁論主義の適用範囲についての論述であるところ、少なくともこの指摘をしない限り、何のために当該事実が主要事実か間接事実かの区別を論じているかが不明だからです。


このような僕の指摘は、卵が先か鶏が先かという議論に似ているように思われるかもしれませんが、そうでもないです。
すなわち、弁論主義の適用範囲及び主要事実と間接事実の区別が問題となる事案は、裁判所が当事者の主張しなかった事実を認定したという事案だと考えられますところ、弁論主義違反が問題となっているわけです。ですから、答案の構造的には以下のようになります(同じ個数の■の文章がそれぞれ対応していることを確認してください。)。


■裁判所の事実認定が弁論主義に反して違法ではないのか。

■■弁論主義の適用範囲は……主要事実に限定

■■■当該事実は主要事実か間接事実か

■■■間接事実に該当

■■間接事実には弁論主義の適用がない

■裁判所の事実認定は弁論主義には反しない


この事案において、適法か違法かを分けるのは弁論主義に反するかどうかです。だから、あくまで、主要事実と間接事実の区別は弁論主義に反するかの判断をするための論述にすぎません。そして、弁論主義の適用範囲を示さなければ、これに反するかどうかの判断はできないのですから、先に適用範囲を示す必要があります。

ただし、当該事実が主要事実に該当する事実である場合、弁論主義が主要事実に適用されることには争いがありませんから、弁論主義の適用範囲の論述を大展開しないほうがいいことには注意が必要です。


もう一つの質問、つまり、主要事実と間接事実の区別については、当該訴訟物において当該事実が請求原因や抗弁を構成する事実か、それとも否認等の事実かどうかで分けるのがよいかと思います。
具体的な論述の方法については、民訴百選講座の答案例にありますので、そちらに譲ることにします。

2016年1月15日


未設定さん
早速のご返信、そして、ご丁寧な解説をしていただいてありがとうございます。

今後の答案作成の際に指摘していただいた事項を参考にさせていただきます。

2016年1月19日