詐欺罪と窃盗罪の区別 合格答案のこつ たまっち先生の 「論文試験の合格答案レクチャー」 第 42回~令和元年司法試験の刑法から~

たまっち先生の「論文試験の合格答案レクチャー」  42回  
『詐欺罪と窃盗罪の区別』
合格答案のこつ
令和元年司法試験の刑法から

第1 はじめに・・・詐欺罪と窃盗罪の区別についてです

 こんにちは、たまっち先生です。
 今回は、令和元年司法試験の刑法を題材として、詐欺罪と窃盗罪の区別について、実際のA答案とC答案の比較検討を通してレクチャーしていきたいと思います。

| 目次

第1 はじめに・・・詐欺罪と窃盗罪の区別についてです
第2 A答案とC答案の比較検討
第3 BEXAの考える合格答案までのステップ「7. 出題者の意図を把握する」との関連性
第4 本問に関連する論点
  【問題文及び設問】
  1 詐欺罪の実行行為性(欺罔行為の意義)
  2 処分意思の要否及びその内容
    ⑴ 必要説(判例)
    ⑵ 処分意思の内容
  3 詐欺罪と窃盗罪の区別
    ⑴ 最後に本問の最大のポイントである詐欺罪と窃盗罪の区別について検討していきましょう。
    ⑵ 東京地判八王子支部平成3年8月28日判タ768号249頁【試乗車乗り逃げ事件】
  4 本問の検討
    ⑴ 概要
    ⑵ 検討

第2 A答案とC答案の比較検討

【A答案とC答案】

 では早速、A答案とC答案を2つを見比べてみましょう。
 A ポイントC ポイントが分かり易いよう⇩表の記載方法としました(なお、デバイスやモニターの大きさで段がズレて表示される場合がございます。あらかじめご了承ください)。

A答案

A ポイント

第1 設問1
1 甲がAに本件キャッシュカード等を証拠品として保管する必要があることをいい、これをAから手渡させた行為に詐欺罪(刑法246条1項)が成立するか。
⑴ 「人を欺」く行為とは、財物交付に向けて、交付の判断の基礎となる重要な事実を偽り、人を錯誤に陥らせることをいう。そして、詐欺罪の本質は、瑕疵ある意思に基づいて財物を交付させる点にあるため、終局的に占有を移転させうるものであるとき財物交付に向けたといえる。
⑵ 甲が金融庁職員であり、Aの預金口座が不正引き出しの被害に遭っており、キャッシュカードを確認し、証拠品として本件キャッシュカード等をAに保管させる必要があることから、Aは本件キャッシュカード等を甲へ引き渡している。したがって、上記事実と本件キャッシュカード等をAが保管することが交付の判断の基礎となる重要な事実といえる。
実際にAはそのような被害には遭っておらず、甲は本件キャッシュカード等をダミー封筒と入れ替えて持ち去るつもりであったため、上記事実を偽ってAを錯誤に陥らせる現実的危険のある行為をしている。
 しかし、甲はAに本件キャッシュカード等を証拠品として保管してもらう必要があると申し向けており、終局的に甲へ占有を移転させるものとして渡させていない。また、甲はAに玄関先で、本件キャッシュカード等を封筒に入れてAへ返却させるために手渡させたのであり、それ以外の場面への持ち出しを認めさせていない。甲はAを本件キャッシュカード等を甲へ預けたまま居間へ移動させているが、そこは玄関近くにあり、また、封筒のための印鑑を撮りに行かせるべくその場を離れさせたに過ぎず、本件キャッシュカード等の占有を甲へ委ねさせる趣旨のものではない。したがって、甲はAに本件キャッシュカード等の占有を終局的に移転させるつもりはないため、財物交付に向けられていない。
⑶ よって、「人を欺」いておらず、詐欺罪は成立しない。
2 本件キャッシュカード等をショルダーバッグ内に隠した行為に窃盗罪が成立するか(235条)。
⑴ 「他人の財物」とは他人の占有する他人所有の財物をいう。
本件キャッシュカード等は、キャッシュカードと口座の暗証番号を記載したメモ紙であり、暗証番号があれば口座から現金を引き出せることから、財物性を有する。そして、これらはAが所有し、占有していたものである。
したがって、「他人の財物」にあたる。
「窃取」とは、他人が占有する財物を占有者の意思に反してその占有を侵害し、自己または第三者に占有を移転させるこという。
Aは、本件キャッシュカード等を甲へ手渡しているが、上記のようにこれは証拠品としてAが保管するためになされたものであり、甲へ終局的に占有を移転させるためではない。そして、Aが印鑑を取りに行っている間に、甲は本件キャッシュカード等を持参したショルダーバッグ内に隠しており、Aの意思に反して占有を侵害し、甲へ占有を移転させて「窃取」している
本件キャッシュカード等は小さいため、Aのいない間にカバンに隠したことにより、甲が占有を取得したとして「窃取」したといえる。
⑶ 甲は上記事実を認識認容しており、故意がある(38条1項本文参照)。不法領得の意思もある。
⑷ 以上より、甲には窃盗罪が成立する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

欺罔行為該当性、その中でも特に処分行為、処分意思の有無が問題となることを指摘できています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Aに意思としてキャッシュカード等の入った封筒の占有が移転することまで認識していないため(Aは占有の弛緩までしか認識できていない)、Aの処分意思が欠ける点を指摘することができています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

詐欺罪の実行行為性たる欺罔行為がないため、詐欺罪は既遂罪はもちろんのこと未遂罪すら成立しないことを的確に指摘することおができています。

 

 

 

 

 

 

キャッシュカードの財物性について簡潔に言及できています。細かい点ですが、点数を稼ごうという姿勢が見られる点が上位答案の特徴です。

 

 

 

 

 

 

 

法的三段論法を意識しつつも、窃取該当性は大きく問題とはならないため、簡潔に当てはめることができています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

主観的構成要件についても漏らすことなく検討できています。細かい点ですが、取りこぼしがありません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

C答案

Cポイント

設問1
1 キャッシュカード等をダミー封筒に入れさせた行為にAに対する詐欺罪(刑法(以下略)246条1項)が成立するか。
⑴ア「他人の財物」とは他人が所有する財産的価値を有する物をいう。
イ キャッシュカードとは、暗証番号を入力することで預金を引き出せるものである。そして、甲はAが所有するキャッシュカードの暗証番号を書いたメモとキャッシュカードを手に入れているので、いつでもAの預金を引き出すことができる。したがって、キャッシュカード等は、Aの預金と同視することができ、「他人の財物」にあたる。
⑵ ア「欺いて」とは財産交付の基礎となる重要な事実を偽るこという。
イ 甲は、金融庁職員になりすましてAに対し、Aの預金口座が不正引き出しの被害にあっておりキャッシュカードを証拠品として保管する必要があるという虚偽の事実を告げている。不正引き出しがされ、甲が金融庁職員としてカードを調べる必要があるかは、カード交付の判断の基礎となる重要な事実といえる。したがって、甲の行為は「欺いて」にあたる。
⑶ア「財物を交付させた」とは、他人の財物を他人の占有下から自己の占有下に移転させることをいう。また、本罪が瑕疵ある意思に基づく交付罪なので、被欺罔者には財物の占有移転を基礎付ける事実の認識が必要と考える。
イ まず、Aはカード等の財物を甲に手渡している。確かに、Aは自分で保管する目的でカード等を空の封筒に入れており、甲に対するカード等の占有移転の事実を認識していないとも思える。しかし、Aは甲に対しカード等を手渡したまま、玄関近くの居間に印鑑を取りに行っている。カード等は小さいから容易に持ち運びが可能である。また、Aは甲が誰であるのかを知らない。そのため、Aは甲がカード等を持ち逃げした場合、カード等を容易にトリ戻ることはできないため、カード等の占有が甲に移転することを基礎付ける事実の認識はあるといえる。よって、「財物を交付させた」にあたる。
⑷ よって、本罪の既遂となる。
2 AのキャッシュカードをATMに挿入して現金を引き出そうとした行為にAに対する窃盗罪(235条)が成立するか。
⑴ Aの所有する預金は「他人の財物」にあたる。
⑵ 本件で甲は現金の引き出しができていないため、財産権の占有が移転したと言えず、本罪の既遂は成立しない。では、未遂となるか。甲の蒸気行為の時点でAの口座が凍結されているが、実行の着手が認められるか問題となる。
ア 実行の着手は、法益侵害の現実的危険性を有する行為を開始した時点で認められる。法益侵害の危険があるかは、一般人または行為者が特に認識していた事情を基礎に、一般人が行為については具体的な法益侵害の危険を感じるかで判断する。
イ 確かに、甲の行為の時点でAの口座は凍結されており、Aの法益侵害の危険はないと思える。しかし、甲はAの預金口座の開設先を聞き出しており、Aのキャッシュカードと暗証番号を入手している。とすると、カード等を取得した時点から数時間の間、甲はAの預金をいつでも引き出すことが可能であったといえる。とすると、一般人は甲の行為によってAの預金が引き出される危険があると感じるのが相当といえる。
ウ もっとも、現金を引き出しておらず、「窃取」を満たさない。
⑷ よって、本罪の未遂となる。
3 よって、1と2が成立し、社会通念上異なる行為に当たるから、併合罪(54条)となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キャッシュカードが財物性を有するかという点について簡潔に検討できています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

処分意思については、欺罔行為の当てはめの中で検討する必要があります。本件ではそもそも詐欺罪にいう「欺」いてに当たるか否かが重要であるため、欺罔行為該当性の判断は慎重に行う必要があります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本件キャッシュカードの大きさやAの認識を踏まえ、Aが占有移転の外形的事実を認識することができており処分意思が認められることを指摘できています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

窃盗未遂罪はAに対してではなく、銀行に対して成立する犯罪であるため、検討不要です。設問の指示に従っておらず、採点官の印象を悪くしてしまう恐れがあります。
また、以下の記載は余事記載であるため、点数がはいりません。点数が入らない箇所に500文字近い分量を割いており、時間をロスしてしまっています。​

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第3 BEXAの考える合格答案までのステップ「7. 出題者の意図を把握する」との関連性

 BEXAの考える合格答案までのステップとの関係では、「7. 出題者の意図を把握する」との関連性が強いと考えられます。

 

 出題趣旨では、「本問では,甲が本件キャッシュカード等在中の封筒をダミー封筒にすり替えて取得した行為が窃盗罪と詐欺罪のいずれに当たるかを巡り,両罪の区別基準とされる処分行為の有無が問題となる。具体的には,甲がAに「この封筒に封印するために印鑑を持ってきてください。」と申し向けて印鑑を取りに行かせた場面が問題となることを的確に指摘した上で,処分行為の意義を示し,本事案における当てはめを行う必要がある。」とあり、窃盗罪と詐欺罪の区別を問いたいことが明確に示されています。また、採点実感では、「本件キャッシュカード等の占有の移転があったと認められるか,それとも占有の弛緩があったにすぎないかについて,Aが甲に本件キャッシュカード等の所持を許したA方玄関先のAによる場所的支配の程度や,同玄関とAが印鑑を取りに行った居間の位置関係,本件キャッシュカード等在中の封筒の大きさ,更にその時点におけるAの認識等を踏まえて検討する必要があった。そのため,処分行為の有無が上記場面において問題となることを的確に指摘し,本事例にある具体的事実を前提にして丁寧な検討ができていた答案は高い評価を受けた。」とあり、本問の事情に即して欺罔行為の検討をすることができていた答案は高い評価を受けたことが分かります。これらの点からすれば、本問は出題者の出題の意図を逆算して捉え、答案を作成することができた受験生が相対的に高い評価を受けていると考えることができると思います。本番の会場で出題者の意図を汲み取ることは簡単とは言えませんが、過去問演習を繰り返す中で徐々に「出題者は何を聞きたいのか」を分析する力を身につけていってもらいたいと思います。

 本問に関連する論点解説

【問題文及び設問】

令和元年司法試験の刑法の問題を読みたい方は、⇩⇩をクリック

https://www.moj.go.jp/content/001293667.pdf

 

1 詐欺罪の実行行為性(欺罔行為の意義)

 詐欺罪の実行行為は欺罔行為、すなわち、財物の交付や財産上の利益の処分行為に向けてその交付や判断の基礎となる重要な事項を偽ることをいいます。ここにいう、処分行為とは、相手方の錯誤に基づいて財物の占有・利益を移転させることをいいます。この処分行為の有無が詐欺罪と窃盗罪とを区別するためのポイントになります。
 また、処分行為といえるためには、処分意思に基づく処分の事実が必要です。そのため、処分意思を欠く幼児や高度の精神障害者を欺いて財物を奪っても、単に窃盗罪が成立するにとどまり、詐欺罪が成立するわけではありません。

2 処分意思の要否及びその内容
⑴ 必要説(判例)

 判例は、従来から処分意思を必要と解する説に立っています(最判昭和30年4月8日刑集9巻4号827頁、最決昭和30年7月7日刑集9巻9号1856頁)。例えば、最決昭和30年7月7日刑集9巻9号1856頁は、無銭飲食・宿泊の事案において、「詐欺罪で得た財産上不芳の利益が、債務の支払を免れたことであるとするには、相手方たる債権者を欺罔して債務免除の意思表示をなさしめることを要するものであって、単に逃走して事実上支払をしなかっただけで足りるものではない」と判示しています。
そのため、処分意思を欠く

⑵ 処分意思の内容

 必要説の中でも処分意思の意義には争いがあります。もっとも、受験的には処分意思とは、移転する財物や利益の量や質を完全に認識している必要はなく、単に移転の外形的な事実の認識があれば足りると理解しておけば十分です(緩やかな処分行為意思説)。
上記の昭和30年決定についても、被害店舗の従業員は店先に出ることまでしか承諾しておらず、未だ料亭の支払領域を逸しておらず、まだ従業員の監視が及ぶ範囲と評価できるため、飲食代・宿泊代という財産上の利益が移転する外形的な事実の認識までは認められず、処分意思を欠くと説明することができます。

3 詐欺罪と窃盗罪の区別
⑴ 最後に本問の最大のポイントである詐欺罪と窃盗罪の区別について検討していきましょう。

 以上の検討を前提とすると、詐欺罪と窃盗罪の区別は、実行行為に処分行為を惹起する危険性が認められるか否かによって区別されることがわかります。つまり、欺いた内容が被害者の財物ないし財産上の利益を移転させる危険があり、かつ、被害者が財産ないし財産上の利益が犯人に移転することを認識しているか否かがポイントになります。
分かりやすくするために以下では過去の裁判例を用いて説明していきます。

⑵ 東京地判八王子支部平成3年8月28日判タ768号249頁【試乗車乗り逃げ事件】

【事案】
甲は、試乗車に添乗員が同乗しなければこれを乗り逃げしようと考え、自動車販売店Pを訪れ同店の営業員Vに自動車を購入すると嘘を言って商談し、試乗したいと話を持ちかけたところ、単独試乗を勧められたので、試乗車を同店から発進させ乗り逃げした。甲の罪責を論ぜよ。

 甲の罪責として考えられるのは、詐欺罪ないし窃盗罪となります。ポイントは甲が試乗を申し込む行為が欺罔行為に該当するか否かです。
上記したとおり、欺罔行為とは相手方が処分行為を行う上で判断の基礎となる重要な事項を偽ることをいいますから、処分行為を惹起する危険性がなければ欺罔行為該当性は否定され、詐欺罪の実行行為性が否定されることになります。
 この点、市場は、自動車が販売店の店に出ることを前提とするものですが、添乗員が同情して監視をしていれば、自動車が店外に出ても添乗員を通じて自動車に対する事実上の支配が継続しているといえるため試乗を許した段階で自動車の占有は依然として販売店側に残りますから、試乗を許す行為は処分行為とはいえません。

 しかし、本件のように、単独での試乗を許す場合はどうでしょうか。自動車はガソリンさえあれば長距離の移動が可能であり、自動車のナンバープレートを見て一目で当該自動車が試乗か否かを判断するのは困難を極めるでしょう。このように考えれば、単独での試乗車が一度販売店の支配領域を出てしまえば、自動車に対する販売店の事実上の支配は失われるといえることになります。したがって、単独での試乗を許す行為は客観的には処分行為に当たります
 また、処分意思が認められるかという点についても、販売員Vは甲が単独で販売店の支配領域を出て試乗を行うことを認識しているわけですから、財産の移転の外形的な事実を認識しているといえ、処分意思が認められることになります。
以上からすれば、販売員Vには処分意思に基づく処分行為が認められ、甲の行為には処分行為を惹起する危険性が認められるため、欺罔行為に当たり、詐欺罪が成立することになります。
 本判決も同様のロジックを用いて、結論として甲に詐欺罪の成立を認めており、詐欺罪と窃盗罪の区別を理解する裁判例として注目に値するといえます。

4 本問の検討
⑴ 概要

 甲が本件キャッシュカード等が入った封筒をダミーの封筒にすり替えて取得した行為が詐欺罪と窃盗罪のいずれに該当するかが問われています。

⑵ 検討

 甲はAに対して、「この封筒に封印をするために印鑑を持ってきてください。」と言っており、これをきっかけとしてAは居間に印鑑を取りに行っている間に、甲はキャッシュカード等の入った封筒をダミーの封筒にすり替えています。この際、ポイントになるのは、被害者Aがどこまでの事実を認識できているかという点です。つまり、本件では確かにAは甲に対して本件キャッシュカード等が入った封筒を渡してはいるものの、それはあくまで一時的なものに過ぎず、Aは甲が本件キャッシュカード等の入った封筒を甲のショルダーバッグ内に入れたり、A宅の外に持ち出したりすることまでは承諾していない(=Aには処分意思がない)ことが重要です。このようなAの認識を前提とすれば、甲の上記発言は、Aが一時的に本件キャッシュカードの占有を甲に委ねるという占有の弛緩を惹起するものに過ぎず、処分行為を惹起する危険性までは認められないことから、詐欺罪にいう欺罔行為は認められないことになると思われます。

 したがって、詐欺罪の実行行為たる欺罔行為該当性が否定されるため、詐欺罪は既遂罪はもちろんのこと未遂罪すら成立せず、本件で問題となるのは専ら窃盗罪該当性ということになります(なお、窃盗罪について特段問題となる要件はないため、簡潔に構成要件該当性を検討してもらえれば足ります。)。

 いつもBEXA記事「たまっち先生の論文試験の合格答案レクチャー」をお読みくださり、誠にありがとうございます。
 第42回は
令和元年司法試験の刑法から詐欺罪と窃盗罪の区別」 合格答案のこつ について解説いたしました。次回以降も、たまっち先生がどのような点に気をつけて答案を書けば合格答案を書くことができるようになるかについて連載してまいります。ご期待ください。

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2024年1月13日   たまっち先生 

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