2023年度入試は既に終了していますが、他方で特別選抜(法曹コース5年一貫型、開放型選抜)実施状況については、特に5年一貫型については各校とも非公開の状況で、受験生が動向を掴めない状況でした。
しかし、6月22日に、法科大学院特別委員会開催に先立ち、文部科学省の調査・法科大学院側の報告により、各校の選抜状況が明らかとなりました。
そこで今回、特別選抜の実施状況について分析をするとともに、今年度以降に受験する方への情報共有をしたいと思い、本件連載をすることと致しました。
まず、令和5年度入試における①5年一貫型選抜全体の倍率は1.41倍と、前年比0.1倍増加しました。もっとも前年度(令和4年度)は法曹コース導入期であり、同コースに在籍する人数が全体としてそもそも少なかったという特殊要因が存在する点に注意が必要です。また、法科大学院であっても、5年一貫型選抜を行っていないところもある点にご留意願います(例:筑波大学法科大学院)。
特別選抜(法曹コース・開放型双方)については、司法試験実績の出ている法科大学院を有する大学学部に志願者が集中している傾向がみられた。特に開放型についてはその傾向が顕著である。
もっとも、たとえば京都大学や一橋大学について、早期卒業を含めた入学者が存在するのに、文科省に対し募集人数0名、受験者0名という珍妙な報告をしている。
反面で、京都大学法科大学院のホームページ上の入試結果(https://lawschool.law.kyoto-u.ac.jp/nyushi/kekka/)を見ると、開放型については受験者55名、合格者25名いるのに、文科省への報告については上記数値が全く反映されていない。
法令に基づき国(文部科学省)への報告が求められ、かつ公表がなされる資料である。しかも国から給付金を受けている立場でもある法科大学院が、虚偽ではないにせよ誤った数値を報告するということは、大学事務方の法令順守に対する姿勢、および事務の正確性に対する意識が欠如していることが強く推認されかねない。法科大学院はぜひとも、学生への教育だけでなく、内部の事務員に対する法令順守および正確な事務処理を徹底して頂きたい。
以上より、別添資料の数値については京都大学と一橋大学、他に事実との乖離が疑われるところとして名古屋大学等については、実態とはかけ離れた数値で大学側が報告・記載している可能性を十分に承知の上で、参照願いたい。
表全体は⇩⇩の画像をクリックするとページ移動します。
昨年度より法曹コース経由の受験が本格化しており、今年度についても(全体では)引き続き同程度の水準で推移することが考えられる。受験生は引き続き、日々の勉学に励んでいただきたい。
2023年7月10日 藤澤たてひと
役に立った:0