BEXA講師/吉野勲
明治大学法学部次席卒業。慶應義塾大学法科大学院既習コース首席合格。
2008年低合格率の司法試験を突破後、伊藤塾で司法試験の受験指導を行う。論文問題等の制作に関与し、本試験問題予想を見事的中させ、合格率を上げた実績を持つ。
これまで1800名が受講してきた講義の数々は「とにかく分かりやすく面白い」「講義を聞くだけでモチベーションが上がるから最後まで受けきれる!」と好評を博している。
ブログ「吉野勲の司法試験道場For Big Step」
BEXA随一の人気講師・吉野勲先生が、BEXAユーザーからの質問に何でも答えてくれる、初学者必見の新シリーズ「合格への王道」。
前回に引き続き、「司法試験に合格できる人と合格できない人の明確な違いとは?」というBEXAユーザーからの質問に吉野先生ならではの視点で答えていただきました。
【目次】
2-1.知識量を問う「旧司法試験」から実践力を問う「新司法試験」へ
3.使えない知識を積み重ねる負のループに注意!知識の使い方を身につけよう
旧司法試験時代の出願者数は最大5万5千人ともいわれ、受験者の競争は非常に激しいものでした。
しかし司法試験の受験者は年々減少傾向で、現在の予備試験などでは受験者は1万3千人程度です。
昔に比べれば競争率はかなり低くなっています。
とはいえ、そのようななかでも短期合格を果たす人と、何年も落ち続ける人に分かれているのは、まぎれのない事実です。
その明暗はどこで決まると思いますか?
確実に言えるのは、短期合格者は「知識量」がある程度不足していても、「考え方」がきっちり身に付いている人が多いということです。
つまり、この「考え方」こそが、司法試験の合否を左右する重要なスキルと言えるわけです。
それはいったいどういうことなのか、これから詳しく説明していきましょう。
司法試験は、2004年のロースクール(法科大学院)制度導入を境に「新司法試験」がスタートし、試験の方針が大きく変わりました。
その経緯や求められる能力の変化は次のとおりです。
従来の旧司法試験は、知識量を重点的に問われるものでした。
極端に言えば、出題の論点さえ分かれば事前にまとめてきた論証を試験当日に〝吐き出す〟だけ。
事前に準備できる要素が強く、知識量さえあれば合格答案は作れる、という状態でした。
ところが2004年から始まった「新司法試験」では、知識だけを持っていても対応できない出題方針へと変わりました。
持っている知識を実践的に使えるかどうかという能力が問われるようになったのです。
例えば「新司法試験」の論文式試験において、問題文の量は旧司法試験時代に比べ何倍にも増えました。
事案のリアリティを出すために具体的な情報がたくさんちりばめられているからです。
細かく書き出された事案の概要から必要な情報を取捨選択して、事案に応じた解決ができるかどうか、それが問われるのが今の司法試験といえます。
現行の新司法試験に対応するためには、知識だけではなく、法律学の基本的な考え方の枠組みや処理手順が身についているかどうかが大きなカギとなります。
言い換えれば、知識が足りなくても考え方が身についていれば、応用で十分に補えるということです。
「考え方」とは、定規のようなものです。
正確な定規を持っていれば、どんな図形でも定規を当てて長さを測ることができ、必要であれば定規でピッと線も引けますよね。
それと同じで、法的思考に基づいた〝定規〟という正しい「考え方」を身につけていれば、自分の知らない判例が出題されても、〝定規〟を使うことで解決への糸口を見つけられます。
基本をおさえていれば、「線がちょっとずれているな」「形がいびつだな」とその事例の特殊性に気づき、あとは応用で解くことができるのです。
短期合格者は、知識量だけでなく、必ず正確な〝定規〟を使った処理手順をしっかり磨いています。
それこそが、短期合格をかなえた大きな要因の一つだと言えるでしょう。
では、新司法試験に対抗するためのカギとなる「考え方」」をどう身につけていくかを考えてみましょう。
ポイントとなるのは、使える知識をどう蓄えていくかということです。
従来の予備校では、とにかく知識を蓄積することを主軸にした講座がほとんどでした。
一つ一つの事案を深掘りして学ぶことはできます。ですが一つの事案の解説で完結し、事案それぞれの関係性まではフォローしないため、いわば知識の「ばら売り」状態になっていたのです。
しかしそれでは、知識だけを積み重ねることになり、それぞれの事案が結びつかず、問題解決のために使える知識になりにくい、という落とし穴があります。
この落とし穴にはまって、使えない知識だけを積み重ねる「知識のとらわれ人」になってしまう受験生が実に多いのです。
知識を積み重ねることと、その知識を使いこなすことは、別問題です。
例えば料理の知識が豊富にある人は料理研究家にはなれますが、料理人にはなれません。
料理人になるには、蓄えた知識を使いこなす調理の技術が不可欠だからです。
同じように、法律家となるためには法律の知識量ではなく、その知識を道具として使える技量が求められます。
本来なら、司法試験の出題方針が変わったタイミングで予備校業界も講座内容を見直すべきなのですが、正直なところ十分に対応できている講座はそう多くないでしょう。
私の講座では知識の「ばら売り」ではなく、類似した論点や反対説、実生活で活かせる判例などと一緒にセットで教えています。
なぜなら、論点や判例を比較しながら、あるいは類似している判例をセットで教わることで体系的に理解しやすくなるからです。
例えば「真ん中」を知らない人にいきなり「ここが真ん中なんだよ」と真ん中だけを見せても、なかなか理解はできないでしょう。
「右」と「左」を教えることで、初めて「真ん中」がどこなのかが分かります。
これは法律学でも同じで、一つの判例を学習するためには、まず反対説を知っておくことがとても重要です。
反対説とセットで考えることで、その判例の良い所も悪い所も見え、理解が一気に深まるのです。
使える知識を深めていく流れは次のとおりです。
・ミクロでなくマクロの視点に立ってセットで覚えることで、体系的に把握できる。
↓
・そうしてより理解が深まることで、考え方の枠組みや事案解決への処理手順が身につく。
↓
・考え方が身につけば、覚えていない論点にぶつかっても、類似した判例をひも解いて処理できる。
このように知識を積み重ね、考え方の枠組みを習得していくことで、実践的に使える知識の使い方を身につけられます。
「知識量は十分あるはずなのに論文がうまく書けない」 「本試験で答案が評価されない」 など後々悩まないためにも、吉野流「王道基礎講座」で学習しませんか。
知識量に固執するのではなく、判例や論点を体系的に覚えていく効率的な学びが得られます。
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勉強方法で悩んでいる方は、こちらの記事も参考にご覧ください。
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編集・取材:石島聡子(リベルタ)
取材・文:池田真理子(リベルタ)
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2023年5月25日 吉野勲
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