藤澤たてひと 「2024年度入試対策」
各法科大学院入試で使用する六法について
『六法を制するものは試験を制する』
各六法にはジャンプ機能があったり、索引があったり・・・。使い方に慣れているだけで条文をすぐに探すことができ、ときに法科大学院入試では優位に立つことができることもあります。
たとえば皆さんが、とある法科大学院入試における民事訴訟法科目を受験中に、「お、これは「重複訴訟の禁止」の問題だな。」と思ったとします。ですが、条文がどうしても見つからない・・・。そこでこの要件該当性を判断できず、困ったとします。
そんな時に役立つのが、総合事項索引(佐伯仁志ほか『ポケット六法〔令和5年度版〕』(有斐閣、2022年) 2,128頁参照)です。なお同様のものは『デイリー六法〔令和5年度版〕』にもあります。これらを見れば、何条に規定があるかをすぐに見つけることができます。
もちろん、条文の場所を日頃からきちんと把握することが非常に重要で、索引検索は困ったときの最終的な手段です。ただ、検索手段を熟知しておくことで、1つの六法を使いこなせるなるので、ぜひ色々な項目に目を通してみてください。
まず、法科大学院入試において使用する六法によっては、条文【見出し】の記載がない法規があることをご存じでしょうか。その例として、憲法や刑事訴訟法が挙げられます。これらの原文は、条文見出しのない状態で制定されているからです。
憲法については条文数も少ないですし、すぐに探そうと思えば可能でしょう。他方で、問題なのが刑事訴訟法です。下四法でもあり、まだ条文に慣れていない受験生も多いかと思います。日頃から条文を引き、概ね条文のどの辺に記載があるかを把握していないと、試験本番で焦ってしまうことも多々あるかと思います。
そのため、日々の勉強で条文を意識することもさることながら、各法科大学院入試で使用する六法の特性を事前に理解しておくと良いでしょう。
つぎに、『デイリー六法』や『ポケット六法』等と異なり、『法科大学院試験六法』は司法試験・予備試験で使用する六法と同様に、関連条文や関連判例、条文の【見出し】は一切記載されていません。
そのため、普段から『ポケット六法』等を使用して勉強している方は、試験本番に上記六法を使用した際に、初めて条文の見出しがないことに気づき、非常に困ったということをよく聞きます(受験生が同六法を使用した際に探せなかった例として、捜査機関による「検証」を規定する条文)。
時間のあるうちに、ご自身が受験する法科大学院で使用する六法を把握することで他の受験生の優位に立ち、ぜひ志望校に合格してください。
なお、使用六法はあくまでも過去の入試において使用されたものです。2024年度から変更される場合もゼロではないですので、その旨をご理解ください※。
入試で満足のいく成果を出せるよう、日々少しずつ準備をしていきましょう。
※ 直近で使用する六法に変更があった例としては、明治大学(同校2022年度第Ⅱ期入試より)があります。ただし、それ以外の法科大学院については直近5年間ほどで変更はされていない状態で、(版は違えど)慣行上同じ六法が使用されています。
※具体的な使用六法が判明しなかった法科大学院もございます。ご容赦ください。
※2023年度入試基準。データは受験生や各校へのヒアリング・書類等調査に基づく。
・東京大学法科大学院(当時最新年度版(令和5年版)、以下「法科大学院」省略)
・一橋大学(当時最新年度版(令和5年版)貸与)
・大阪大学(最新年度版)
・中央大学(令和4年度版〔入試当時は未刊行〕)、
・東北大学(版は入試期により異なる)
・筑波大学(令和4年度版)
・立命館大学(版は入試期により異なる)
・関西学院大学(上記同様、貸与)
・日本大学(上記同様、貸与)
・関西大学(上記同様)
・京都大学(最新年度版貸与)
・早稲田大学(令和4年度版)
・同志社大学(版は入試期により異なる)
・学習院大学(上記同様、貸与)
・明治大学(上記同様)
・慶應義塾大学(令和4年度版)
・東京都立大学(貸与)
・法政大学
・福岡大学
・千葉大学
・九州大学(持参)
・北海道大学(持参)
・専修大学(持参)
・神戸大学(『基本六法』、『セレクト六法』、『デイリー六法』、『ポケット六法』、『司法試験用六法』、『新司法試験対策六法』、のいずれか持参)
・名古屋大学(『デイリー六法』(三省堂)、『ポケット六法』(有斐閣)、『司法試験用六法』(第一法規)のいずれか持参)
以上
2023年2月19日 藤澤たてひと
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