社会人として5年間働いてきましたが、正直なところ、ずっと焦りがありました。ベンチャーやスタートアップで働く中で、「あ、ここで法律の知識があればもっと専門的な価値を提供できるのに」という場面が何度もあって。周りの優秀な人たちの中で、自分のビジネス能力に自信が持てず、このまま普通に同じ土俵で戦っても勝てない気がすると思ったんです。だったら専門性を身につけて、「土俵をずらして戦おう」と。弁護士という専門職を目指すことで、自分なりの強みを作れるのではと感じ学習をスタートさせました。
2022年6月頃から本格的に勉強を始めました。社会人として働きながらだったので、1日4~5時間くらいしか時間が取れませんでしたが、アガルートの予備試験1年合格コースの基礎講座を2倍速で3~4ヶ月で見終えました。そこから論文対策に取り組みましたが、その時の感想は「論文ってどうやって書くんじゃい!」でした。本当に分からなくて。アガルートの重要問題集の模範答案を見たり、論文の書き方講座を見たりしましたが全然ピンとこない。
問題を見て、解説を見て、解答を見て、何故この順番でこういうものを書いてるのかをとりあえず考え、思考錯誤していました。論文の書き方に「正解」や各科目の「最短ルート」のような「マップ」が必ずあるはずと。でも、結局見つからなかったんです。今思えば、この暗中模索の時期が一番しんどかったです。
司法試験を目指すと決めてから、最初は予備試験ルートを考えました。でも、やってみて分かったんです。「これ、働きながらは無理だ」って。予備試験の難易度は想像以上で、働きながら対策をすることは、自分にとって無謀な挑戦だと感じました。
2023年7月に初めて予備試験を受け、短答は何とか通りましたが、論文は撃沈。短答に関しては学生時代に受けた国家公務員試験で学んだ内容が活きたと思っています。12月の結果発表まで待つ間、色々と考えました。このまま社会人として働きながらダラダラ続けても時間だけが過ぎていくのではと感じて。自分は追い込まれた方が頑張れるタイプなので、思い切って仕事を辞めました。覚悟を決めて専業受験生になり、ロースクールに行くことを決意したのです。
2024年4月、ロースクールに既修で入学しました。入学してみて感じたことは、「ロー卒業資格で受ける選択をして本当に良かった」ということです。
ロースクールのメリット
予想以上にメリットが大きかったです。予備の短答に受かるくらいの知識があれば、授業についていくのはほぼ問題なく対応できました。そして授業を受けていくうちに、予備試験の勉強で得た「スカスカの骨組の知識」に「肉付け」がされていく感覚がありました。答案の流れや構成などが、少しずつ理解できるようになってきたのです。
正直なところ、起案は模試を除いてほぼやっていませんでした。これは、起案しなくても書けると思っていたのではなく、単に起案というキツイ(と思っていた)作業から逃げていただけです(笑)。代わりに私がやったのは、書くべき流れを頭に叩き込むことでした。本番で何とか耐えられるように、年明けからは、過去問の模範答案を自分で作成し、そこに論証を入れ込み、その答案の流れのまま論証を覚えることに集中しました。また過去問は令和元年以降の司法試験及び予備試験に絞って取り組み、それ以前の過去問に登場した知識や論点は予備校のインプット教材に知識として入ってるだろうと考え実践しませんでした。単純に時間がなかったということもあり、効率重視でいくしかなかったんです。
(写真のような模範答案を本試験・予備試験の各科目合計84通作成していた)
得意科目は憲法だけです。基本憲法を読み、伊藤たける先生の「憲法の流儀」を受講し、他の科目に比べて「大雑把な議論」で進められる感覚がありました。憲法は、(限度はありますが)合憲も違憲もあり得るので、最悪逆の立場で書いても、ある程度論理立てて書くことができていれば「そういう考えもあるよね」と点がもらえる科目だと思います。そのような意味で、他の科目より頭に負担がかからず書きたいことが書けるこの科目が得意になりました。
司法試験合格できたターニングポイントは、はっきりしてます。「ギアが入った」瞬間があったんです。前年のローの合格祝賀会で、合格した先輩たちが前に並んでいる姿を見たとき、モチベーションが爆上がりしました。「自分も絶対にあの列に並びたい」って本気で思ったんです。それからさらに勉強量が増えて、集中力も上がって。勉強仲間がいることとか、合格者の姿を見られることがロースクールに入って本当に良かったと思えるポイントでした。
合格までで一番きつかったのは、間違いなく「メンタル」です。勉強方法がどうとか、科目が伸びないとか、そういうのじゃなくて。自分が本当に合格に向かってるのか分からない、その状態がずっと続くのが一番しんどかったんです。模試を受けても、自分が成長してるのか全然掴めなくて。予備校の先生や合格者に起案を見てもらってコメントもらうのが良いってとはわかっているんですが、起案から逃げていた私はそれもやりませんでしたし。だから本当に、暗闇の中を手探りで進んでる感覚でした。
3月にTKC模試、5月に辰已模試を受け、TKCは何とか合否ライン上にいたんですが、辰已は全然ダメで。それでも、TKCの採点基準の方が本番に近いと信じ、前に進むしかありませんでした。そして無事に1回目で司法試験に合格することができました。予備試験短答合格から2年、学習開始から約3年の短期合格でした。
私が暗中模索をしながら合格できたポイントは、「学習開始当初から常に勉強方法の正解を模索し続けたこと」「本番で使える形でのインプットを意識し続けたこと」だと思います。年明け以降、過去問の模範答案を自分で作り、そこに本番で使う論証を入れ込み、その答案を丸ごと覚えることで、答案の流れの中で論証を覚えるという独自の学習法に注力しました。予備試験で得た「骨組みの知識」に、ローで得た知識が「肉付け」され、自分で試行錯誤した結果、「なぜそのような答案の流れや構成になっているか」が理解できるようになり、論文が書けるようになったのだと思います。
また、ロースクールに入ってから、私は「時間を計って勉強」はしませんでした。その代わり、朝7時から夜11時まで自習室にいると決めていました。ロースクールの近くに引っ越して、家は完全に寝るだけの場所にしました。学校中心の生活にすることで、勉強以外のことを考える時間を最小限にできました。この環境整備が、短期合格につながったと思います。自分の性格上、退路を断ちロースクールに入学したことが、本当に功を奏したと感じています。社会人受験生の方には、一つの選択肢として参考にしてもらえればと思います。
受験生へのアドバイスとして、一番大事だと思うことは「今年で決める」と本気で思うことです。
5回の受験機会があるからって、楽観的になりすぎちゃダメです。楽観的なメンタルは持ちつつも、「今年絶対受かりたい」っていう強い気持ちを持つこと。これが本当に大事だと思います。
また、他の受験生がやってることに全部従う必要はないと思います。でも、完全に無視して変な方向に行っちゃうのも危険。情報は集めつつ、柔軟に取り入れつつ、でも自分の道・信念は持つ。このバランスが大切だと思います。
論文が書けない痛み、成長が見えないっていう苦しみ、メンタルを保つ戦い。これらを全部乗り越えた先に、合格があります。頑張ってください。応援してます。
選択科目は労働法にしました。理由は単純で、イメージがつきやすかったから。労働法は論点が多く覚えることが多いと言われますが、他の7科目に比べたら範囲は狭いし、複雑じゃないと思います。
個人的には、労働法は「考えなくていい」から頭が疲れない。憲法と同じくらい好きになりました。普通の価値観で判断できる部分が多いし、覚えた論証をそのまま問題に応用しやすいので私には合っていました。
| 区分 | 教材 | 提供 |
|---|---|---|
| 全科目共通 | 『司法試験・予備試験対策アプリ 短答攻略クエスト』 | 資格スクエア |
| 全科目共通 | 『司法試験&予備試験 短答過去問パーフェクト』 令和元年以降の問題 | 辰已法律研究所 |
| 憲法 | 司法試験過去問(短答式) | 法務省(司法試験委員会) |
| 憲法 | 『司法試験&予備試験 短答過去問パーフェクト』 | 辰已法律研究所 |
| 民法 | 『司法試験&予備試験 完全整理択一六法』 | 東京リーガルマインド |
| 刑法 | 『司法試験&予備試験 完全整理択一六法』 | 東京リーガルマインド |
| 区分 | 教材 | 提供 |
|---|---|---|
| 全科目共通 | 『司法試験・予備試験 総合講義』 | アガルートアカデミー |
| 全科目共通 | 『司法試験・予備試験 論証集』(憲法以外) | アガルートアカデミー |
| 全科目共通 | 『司法試験・予備試験 論文過去問解析講座』 | アガルートアカデミー |
| 全科目共通 | 『司法試験全国公開模試』 | 辰已法律研究所 |
| 全科目共通 | 『TKC全国実力確認模試(司法試験全国模試)』 | TKC司法試験対策講座 |
| 科目 | 教材 | 提供 |
|---|---|---|
| 民法 | ロースクール授業教材(大学院配布教材) |
| 科目 | 教材 | 提供 |
|---|---|---|
| 刑法 | 『基本刑法Ⅰ 総論』 | 著者:大塚裕史・十河太朗・橋爪隆 ほか 出版社:日本評論社 |
| 刑法 | 『基本刑法Ⅱ 各論』 | 著者:大塚裕史・十河太朗・橋爪隆 ほか 出版社:日本評論社 |
| 刑法 | 『刑法事例演習教材』 | 有斐閣 |
| 刑法 | 『司法試験・予備試験 重要問題習得講座』 | アガルートアカデミー |
| 科目 | 教材 | 提供 |
|---|---|---|
| 会社法 | 『手にとるようにわかる会社法入門』 | 著者:川井信之 出版社:かんき出版 |
| 会社法 | 『リーガルクエスト 会社法』 | 有斐閣 |
| 会社法 | 『Law Practice 商法』 | 商事法務 |
| 会社法 | 『司法試験・予備試験 重要問題習得講座』 | アガルートアカデミー |
2026年3月26日 BEXA事務局
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