私は、中堅大学の法学部に入学しましたが、当時残念ながら周りに予備試験・司法試験を目指す学生が全くいませんでした。法学部に入ったはいいものの、取り付く島もなく、『このままだとどうなるんだろう』と思っていると大学3年生の冬になっていました。
このままでは駄目だと思い、ロースクールを目指すことにしました。そのために、ロースクール対策・司法試験対策のためのウェブ講座を探し始めました。
インターネットで検索すると、やはり、某有名司法試験予備校を使っている人が多く目につきました。評判も悪くありません。
私にとっても、有力な候補で、実際に体験講義を受けてみました。内容自体は悪くはないと感じましたが、基礎講座の講座数の多さとインプット中心の講義内容を見て、『これをやるのは無理だ』と感じてしまいました。
私は、司法試験の学習が人より遅れていると認識がありました。
何より、今までの人生で、問題を解いて、解説を見てという勉強しかしてきませんでした。今更、インプット中心の長大な講座で勉強できるとは思えませんでした。
大学3年の冬まで司法試験の勉強に手をつけて来なかった私です。
自分が『怠惰』であることは明白でした。
だから、量をこなす、とにかく頑張るといった勉強法では挫折することは目に見えていました。
そこで、私が探したのは、できるだけサボりながら、最大の成果を出す方法です。
そんなときに、インターネットで4Sの存在を知りました。
4Sが、最小限の勉強で最大限の成果を謳っていることに惹かれました。
しかも、講義時間も某塾の半分なうえに、アウトプットを中心のアプローチ。
私は4Sに決めました。
とはいえ、4Sを購入したはいいものの、実際のところ、購入してから1年以上、受講していませんでした。受講期限が過ぎてしまうので、音声ダウンロードだけ行い、ほったらかしにしていました。
私が実際に4Sを受講しはじめたのは、ロースクールに入ってからです。
有名ロースクールの未修コースに入学したものの、単位を少しでも落としたら、留年してしまうという厳しさに、何か対策が必要でした。
そんなとき、大学生のころに購入し始めた4Sの存在を思い出し、受講し始めました。
実際のところ、ロースクールの予習・復習にしっかり取り組んだら、4Sを受講する時間はありません。
私は、4Sかロースクールの予習・復習か、どちらかを選ぶ必要にかられました。
結局、私が選んだのはロースクールの予習・復習を『サボり』、その分、4Sをしっかり受講することでした。
どうして、4Sを優先したか。
それは、第一に司法試験合格に直結する内容だと思ったからです。
司法試験合格に直結する内容を学習すれば、ロースクールの期末テストも、上位の成績はとれなくとも進学できないことはないと考えました。
実際に、ロースクールの1年目の前期試験は、憲法・民法・刑法の4Sの受講で十分に突破することができました。
私の通っていたロースクールの未修コースの合格率は20%を切ります。
言われた通りの勉強をするだけでは合格することは難しいです。
そのような環境で、司法試験に一発合格するためには、自分で考えることが必要です。
自分にできることはどこまでなのか。
何が目的なのか。
そのための最短コースはどんなものなのか。
私の受験生生活にも挫折がありました。
それは、ロースクール三年目に受験した予備試験に不合格だったことです。
主要な論点はしっかり書けていて、合格する自信はありました。実際に、弁護士の方に見てもらった際には合格しているので、口述対策をした方が良いと薦められたほどです。
しかし、実際には不合格。成績も散々なものでした。
合格をほとんど確信していた私はとてもショックを受けました。
友人にも、『たぶん受かっているから!』と自身を持って言って回っていましたし、もともと、大学の学歴や大学進学まで2年のブランクがあることなどから、予備試験合格しないと就職も厳しくなるという事情から本当に落ち込みました。一週間、寝込んだほどです。
中村先生のカウンセリングで、じっくり答案を分析してみると、不合格の原因が分かりました。
たしかに、論点はしっかり書けていました。
しかし、『文章を書きなれていない』『文章の形式的な部分が全然だめだ』と指摘されました。
実際に、私はあまり答案を書いていませんでした。
理由は、答案構成ができるのだから、書けるだろうという過信があったからです。
おそらく、大学までにしっかりとした国語力・文章構成力を身につけてきた人には、4Sと答案構成だけで十分かもしれません。
しかし、国語や文章構成に自身のない私は、しっかり答案を書くべきだったのです。
そこで、予備試験の結果発表があった10月から翌年5月の司法試験までの間に、新司法試験の過去問を全て解くことにしました。
この際、司法試験特有の論点などはすでに出来ていたのであまり重視しませんでした。
国語力・文章構成力をつけることや、使えていない条文・問題文の事実を見つけ出すことを主眼に学習しました。
答案を書いたあと、復習するのに中村先生の講義を受けながら、自分の答案と中村先生の答案を見比べて、出来ていないところに線をひくようにしました。
こうして、使えていない条文や問題文の事実を洗い出すことで、自分が出来ていない点を見つけ出すことできました。
他方で、ロースクールの答案添削サービスも利用しましたが添削があまり参考にならないので途中でやめてしまいました。ただし、定期的に書かなきゃという気持ちにさせてくれる点はありがたかったです。
ロースクールでは、自分のような勉強をしている人はいませんでした。ほとんどの合格者が自分の倍以上の勉強をしています。ひたすら量でカバーする学習法を取り入れてました。
たくさんインプットすることで、『偶然知っている論点が出る確率を上げ』て、受かるという手法です。しかし、『司法試験の問題を解けるようになる』ことが目的なのに、覚えることが目的になってしまっていて、これでは受からないなと感じました。『論点を全部覚えれば絶対受かる』と言っている知り合いもいましたが、当然不合格でした。
4Sは、論点や判例・学説で体系的にまとめられてはいません。
問題ごとに、必要な条文や問題文の事実を抽出し、分解していくトレーニングができるように構成されています。
覚えるのはではなく、司法試験・予備試験の問題の解き方を直接学べます。司法試験・予備試験は条文や問題文の事実を一度分解し、再構成することが必要な能力だと私は考えています。それは体系的な理解とはまた別の能力だと思います。4Sは、そのトレーニングが唯一できるメソッドだと思います。
とはいえ、4Sは趣旨・規範本に沿っていないため、ロースクールの友人と4Sに沿って話していると『何言っているの?』と言われることが多かったため、コミュニケーションに困りました。また、司法試験は相対評価であるため、皆が書けている点が書けないのはリスクであると感じた。このため、4Sの一部の規範・論証を趣旨・規範本に沿って修正したという工夫は一定程度行いました。
2019年12月15日 中村充
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