平等権の問題で格差を違憲審査基準を決める際の要素

例えば、非嫡出子の相続分を嫡出子の2分の1にする(格差)という問題で格差を基準にとりこむということが流儀では言われていないのですが、これを取り込むのは間違いなのでしょうか?

この場合の格差は自由権の問題での制約態様のきつさの部分にあたると思うので、取り込むべきだと考えています。また上の問題で、非嫡出子の相続分を「2分の1」とするのと「0にする」ので基準に違いを入れられないことになるのも違和感があります。

流儀で「平等権の問題の核心はそもそも区別するかであり、区別の程度ではない」と書かれているのですが、これが格差を違憲審査基準を決める要素にいれない理由になっているのでしょうか?
未設定さん
2015年11月21日
公法系 - 憲法
回答希望講師:伊藤たける
回答:1

ベストアンサー ファーストアンサー
伊藤たけるの回答

違憲審査基準論によるならば、踏み台にするべき事案類型を特定する必要があります。
制限の程度や、制約の重要性により、アドホックに判断枠組みが変化すると考えるべきではありません。

そして、事案類型を決定する重要な事実として、格差の程度を考慮するのは一般的ではないでしょう。
そのため、考慮するとしても、相当性審査に収斂するのではないでしょうか

2015年11月21日


未設定さん
お忙しい中、迅速な回答ありがとうございます。

加えて一つお聞きしたいのですが、自由権の問題で制約態様の強さを違憲審査基準にとりこむ(刑罰があって制約態様がきついから基準を厳格にするなど)考え方をとっても、平等権の問題で格差を取り込むのは間違いなのでしょうか??

また取り込まないとして、その理由付けは「平等権の問題の核心はそもそも区別するかであり、区別の程度ではない」からなのでしょうか??

お忙しいところ、しつこくみません。

2015年11月22日


未設定さん
以前、質問させていただいたときに自由権の法令審査の場面では、違憲審査基準定立の際の制約態様の強さの事実と具体的検討の相当性審査の部分の事実はかぶることがあるとお答えいただいたのですが、平等権の問題では格差は相当性審査に一元化されると考えておけばよいのでしょうか?

2015年11月22日

違憲審査基準を確定するための事案類型は、刑罰か否かで変わるというのは、一般的ではありません。
たしかに、最高裁大法廷は、刑罰はやむを得ない場合に限るとしていますが、単なる一般論です。
そのため、刑罰は、手段相当性で論じるものです。

自由権で制限態様として考慮すべきは、制約が事前か事後か、直接か間接・付随かなどという部分です。
これらの制約態様は、手段相当性と重なりますが、逆はないでしょう。

平等原則の審査はご指摘のとおり、差別するか否かが問題なので、事案類型で相当性を考慮するのは、国籍取得のような憲法上の権利の得喪にかかわる限度でしょう。

2015年11月22日


未設定さん
お忙しいなか、たびたび丁寧な回答ありがとうございます。理解しました。

2015年11月22日


未設定さん
たびたび質問すみません。

基準定立の際の制約態様の強さと、手段相当性の区切りについての質問なのですが、これの区切りの目安があったら教えてもらいたいです。

先生の話を聞いていると、制約態様のほうが抽象的なイメージで具体的な制約に踏み込まないイメージなのですが、どうなのでしょうか?

お忙しいところ同じ質問をすみません。

2015年11月24日

まず、手段相当性は、なんでもぶちこめるところだという認識でOKです。
それらの要素のうち、一部である規制態様については、判例の事案類型を区別するときに発見するしかありません。
たとえば、刑事罰か行政処分かで事案類型を区別するという方法も、(最高裁は採用してはいませんが)一考に値するとは思います。
ただ、事案類型の区別は、そもそも中核的な利益に関する制約なのか、それとも付随的な制約なのか、あるいは、周辺的利益(尊重に値する利益など)に対する制約にすぎないのかといった観点が多いように思われます。

2015年12月1日


未設定さん
お忙しいところ、一生徒にすぎない私の質問に長々と付き合っていただき本当にありがとうございます。了解しました。

2015年12月1日