不任意自白の派生的証拠については、①まずは、虚偽排除説から、内容虚偽の危険性が切断されていることを指摘した上で、②自白獲得手続に違法性があることをなんとか認定し、違法収集証拠排除法則に乗せて、最高裁の違法性承継(同一目的+直接利用、又は密接関連性)を使って判断するというのが、無難であるとともに、書きやすいと思います。
なお、任意性説からであれば、人権擁護の観点から、不任意自白を採取するような取り調べの抑止効という理由で証拠能力を否定することが可能です。
例えば、事例演習刑事訴訟法(古江、第4版)219~220頁では、「不任意自白に由来する派生的証拠の排除は、人権擁護説なら、うまく説明できるのではないかな。黙秘権など人権の保障のために自白を排除するのであれば、派生的証拠までも排除しないと、人権保障の目的を完追できないとの理論が成り立つからね」とされています。
虚偽排除説から派生的証拠の証拠能力を否定することは困難ですが、任意性説に立ち、派生的証拠の場面では、人権擁護の側面を全面に出して、上の「」のように論じることができます。
なお、不任意自白の派生的証拠についての説明については、以下の私のブログの内容も参考にして頂けると幸いです(司法試験委員会の理解も書いてありますので)。
⇒ http://ameblo.jp/byoosoku/entry-12087585874.html
2015年11月17日