それらの処理には、様々な整理・見解があるようです。
私は、
・ある行為が実行行為(法益侵害の現実的危険ある行為)に当たるかについての検討を精密化したのが不能犯の問題。
・実行行為性が認められる行為に着手した時点で実行の着手が認められる。
(・クロロホルム事件における密接性は、行為の一連性の検討段階に位置づける。同危険性は、上記実行行為に当たるかの検討段階に位置づける。)
といった整理をしています。
これが最もシンプルで、司法試験系の全過去問への汎用性が高く、合格可能性を最も高めると思っているからです。
これによると、その事例では、甲の「致死量に満たない毒を料理に混ぜ」た行為が、法益侵害の現実的危険ある実行行為といえる(「不能犯を乗り越え」られる)なら、その行為に着手した時点で実行の着手が認められるので、密接性(・危険性)の話をする必要はないでしょう。
その後、乙がその料理を食べる前に、甲の別の行為があれば・予定されていれば、行為の一連性の検討の中で密接性等を判断しますが。
2019年4月3日