経済法答案について

経済法の問題において、1つの行為が複数の不公正な取引方法の類型に該当する場合は多々ありますが、時間があれば複数の類型について定義を示し、当てはめて、結論として「右行為は19条、2条9項2号、また一般指定11項にも該当する」のようにしても良いのでしょか。指定11項と12項のように明示で重畳を禁止しているのではない場合の処理が不明です。よろしくお願いいたします。
未設定さん
2019年3月2日
選択科目 - 経済法
回答希望講師:中山涼太
回答:1

ベストアンサー ファーストアンサー
中山涼太の回答

まず,19条は事業者が不公正な取引方法を行うことを禁止する規定なので,2条9項各号or2条9項6号に基づき公取委が策定した一般指定各項に「該当」する不公正な取引方法をすると,19条に「違反する」という整理が正しいです。
その上で,ご質問にお答えしますと,基本的には個別類型で問題文の事情的に聞かれていそうな条文を1つ選ぶべきです。個別類型を選ぶ,というのはどういうことかと言いますと,私の30年度解説でも取り上げましたように,一般指定11項,12項(極端に言えば14項も)バスケット条項とされていて,いわばなんでもありの条項なので,それを検討するよりも先に別の条文に該当しないかを検討すべき,ということです。
別の条文に該当するのならば,11項や12項(ないし14項)の出番はありません。
あとは,同類型でもどちらの条文を使うか,という問題はあったりします。共同取引拒絶なのか,単独なのか。累積課徴金相当の不当廉売なのか,一般指定程度の不当廉売なのか。この場合には,課徴金相当の類型に該当するのに一般指定で検討する,というのはおかしな話なので,両方記載した方が良いと思います(明らかに課徴金相当の類型に該当しない場合は書かなくていいです)。
ただし,「合わせ技一本」と呼ばれるものには12項や14項が,目的と手段の関係にあるものの場合には目的の方の条文が聞かれている(差別対価による拘束条件付取引なら拘束条件付取引で書く等)というケースもあるので,注意が必要です。そこは判例・審決集でどの条文が使われているか,というところから感覚を養ってもらうしかありません。「合わせ技一本」の話等は白石忠志先生の独禁法講義等に解説されています。
なお,これは不公正な取引方法に限った話なので,私的独占が絡んでくる場合には,不公正な取引方法+私的独占(あるいは私的独占1本)で書く必要があります。また,おっしゃる通り,重畳的にいくつかの条文を検討・記載すること自体は禁止されているわけではないので,出題者がメインで聞いていると思しき条文を外さないかぎり,いくつ書いても減点にはならないと思います。出題趣旨も大体1つの条文で決め撃ちで説明をしているので,あえて複数書くことまでは求められていないでしょうが,当日どうしても不安でしたら,複数書いてしまった方が精神衛生的には良いかも知れません。

2019年3月4日


未設定さん
大変わかりやすく参考になりました。ありがとうございます。審決集をもう少し読み込んでみようかと思います。

2019年3月4日

審決等を読むときは、当てはめの部分を読んで、どんな行為態様や周辺事実をもってその条文が適用されているのかを確認するのが効率がよいと思います。憲法科目でも勧めてますが、百選ははしょり過ぎて訳が分からない事例もあるので、適宜原文も当たると事実関係を拾いやすくなります。
独禁法の判例審決は結構長いですが、全部を読む必要はありません。見出しから気になる条文についての事実部分と当てはめ部分を選別して、そこだけ読めば十分です。

2019年3月4日