伊藤たけるです。
回答させていただきます。
いわゆる処分(適用)違憲の論じ方にはいろいろありますが、必ずしも要件解釈に限定する必要はありません。
たしかに、可能な限り、法令を活かそうという観点からは、処分要件を違憲審査基準の趣旨に合致するように、限定的、あるいは、憲法適合的に解釈するべきでしょう。
よど号新聞記事抹消事件判決や、堀越事件判決、泉佐野事件判決の一部分については、この判断手法でしょう。
しかし、処分(適用)違憲では、処分要件とは離れて、行政作用そのものが憲法に適合するのかを審査する場合があり得ます。
たとえば、法の一般原則である比例原則違反、平等原則違反のほか、泉佐野市民会館事件判決のように、見解差別禁止、敵対的聴衆の法理などもあります。
これらは、処分要件の解釈としてではなく、行政作用そのものの合憲性について、ダイレクトに審査しています。
そのため、処分(適用)違憲においては、文言解釈にねじ込めない場合には、目的手段審査を用いればよいと思われます。
2015年11月5日