刑訴328条について

パターンテキスト2-3-3の⑵の問題です。
そもそも同条の証拠は自己矛盾供述だと思うのですがこれはどの供述と比較して矛盾と捉えればいいのでしょうか?
これは減殺の対象と比較すればいいのでしょうか?とすると増強証拠の場合ってそもそも「証拠」の当たらず切れませんか?

また本件PSは減殺された証言1との関係では一致する供述に当たりませんか?(62から65行目参照)
2019年1月30日
法律系資格 - 予備試験
回答希望講師:中村充
回答:1

ベストアンサー ファーストアンサー
中村充の回答

〔前段について〕
自己矛盾供述は、おっしゃるとおり「減殺の対象と比較すればいい」のです。
ただ、問題文の事情≒①当事者Pの②言い分からではなく、条文=③法的構成→④あてはめ(必要な限度で解釈)から処理をスタートさせてしまっているのが、混乱の根本原因だと思います。

問題文の事情≒①当事者Pの②言い分からスタートすると、“増強…証拠”とあります。
この増強“証拠”も、③刑訴法328条の④「証拠」に、日本語的には当たりますよね。
そして、弱かった「証明力を」増強する形で「争う」といえなくはない…と考えると、解釈を要します。
そこで、同条の趣旨が増強証拠があてはまらない等の解釈論を展開して切る。

…このような流れでいかがでしょうか?

〔後段について〕
まず、2018年合格目標以降の4A論文解法パターン講義(刑訴法)では、答案例60~65行目を修正した補助レジュメを配布しているのですが、お手元・WEB-SCHOOLにありませんか?
そのレジュメで私は、本件PSの供述が証言1と一致するとは“読み取れない”旨を書いています。
理由は、以下のとおりです。

証言1は、“Wは、銃声を聞いて現場に駆けつけたところ、その場から急ぎ足で立ち去る男性とすれ違ったこと、その男性には面識がなかったが、被告人に似ているように思うと証言した。”ものであるのに対し、
本問検面調書は、“Wが現場付近ですれ違った男性の人相風体について詳細に供述した”ものです。
これらを比較すると、確かに、Wが現場付近で男性とすれ違った点については一致しますが、そのこと自体は 弁護人の反対尋問でも前提とされており(問題文リード文ラスト“すれ違った男性の…”)、そもそも一致供述により証明力を回復する必要がありません。

また、証言1の“その男性には面識がなかったが、被告人に似ているように思う”という内容は、本問検面調書の“男性の人相風体について詳細に供述した”という内容と、一致するとはいえないのではないでしょうか…司法H29論文刑事系第2問設問2でも、かなりあからさまに内容が一致する供述についての回復証拠該当性が問われていますし。

とはいえ、本件PSの供述を証言1と一致する供述と見る余地もありますから、その筋で検討しても、合格ラインを優に超えうると思います。

2019年1月31日


匿名さん
ご回答ありがとうございます
前段については、この問題文はそもそも増強証拠が「争う」に当たるかを聞いているわけで「書面又は供述」にあたるかは聞いていない=前提としてよく、検討の必要なし、ということでしょうか?
解答を頂くまでの間すこしだけ参考書をよんだのですがそもそも「書面又は供述」が自己矛盾供述に限るのは弾劾証拠の場合にかぎるとありました、(事例演習刑事訴訟法 古江)
増強証拠や回復証拠の場合は「争う」に当たるかの検討で充分ってことなんですかね?

後段については、先生の御考えよくわかりました。あからさまに一致するときに回復証拠を考えるという理解でいいでしょうか?

2019年1月31日

前段について。
私は、増強証拠や回復証拠の場合は「証明力を争う」に当たるかの検討で充分だと考えています。
古江頼隆『事例演習刑事訴訟法』第2版(有斐閣)も、p380~で、増強証拠や回復証拠の問題を「証明力を争う」という文言に位置づけているように読めました。

後段について。
基本的にはその「理解」でいいと思いますが、究極的には、問題文の事情という絶対的要素や他の受験生が書いてくるかという相対評価の意識の総合考慮で決すべきです。
例えば、あからさまには一致していない供述につき、“回復証拠として認められるか”といった問いも、全く出題されないとは断言できないからです。

2019年2月14日