〔前段について〕
自己矛盾供述は、おっしゃるとおり「減殺の対象と比較すればいい」のです。
ただ、問題文の事情≒①当事者Pの②言い分からではなく、条文=③法的構成→④あてはめ(必要な限度で解釈)から処理をスタートさせてしまっているのが、混乱の根本原因だと思います。
問題文の事情≒①当事者Pの②言い分からスタートすると、“増強…証拠”とあります。
この増強“証拠”も、③刑訴法328条の④「証拠」に、日本語的には当たりますよね。
そして、弱かった「証明力を」増強する形で「争う」といえなくはない…と考えると、解釈を要します。
そこで、同条の趣旨が増強証拠があてはまらない等の解釈論を展開して切る。
…このような流れでいかがでしょうか?
〔後段について〕
まず、2018年合格目標以降の4A論文解法パターン講義(刑訴法)では、答案例60~65行目を修正した補助レジュメを配布しているのですが、お手元・WEB-SCHOOLにありませんか?
そのレジュメで私は、本件PSの供述が証言1と一致するとは“読み取れない”旨を書いています。
理由は、以下のとおりです。
証言1は、“Wは、銃声を聞いて現場に駆けつけたところ、その場から急ぎ足で立ち去る男性とすれ違ったこと、その男性には面識がなかったが、被告人に似ているように思うと証言した。”ものであるのに対し、
本問検面調書は、“Wが現場付近ですれ違った男性の人相風体について詳細に供述した”ものです。
これらを比較すると、確かに、Wが現場付近で男性とすれ違った点については一致しますが、そのこと自体は 弁護人の反対尋問でも前提とされており(問題文リード文ラスト“すれ違った男性の…”)、そもそも一致供述により証明力を回復する必要がありません。
また、証言1の“その男性には面識がなかったが、被告人に似ているように思う”という内容は、本問検面調書の“男性の人相風体について詳細に供述した”という内容と、一致するとはいえないのではないでしょうか…司法H29論文刑事系第2問設問2でも、かなりあからさまに内容が一致する供述についての回復証拠該当性が問われていますし。
とはいえ、本件PSの供述を証言1と一致する供述と見る余地もありますから、その筋で検討しても、合格ラインを優に超えうると思います。
2019年1月31日