(相当・法的)因果関係を行為の危険が結果へと現実化したかどうかで判断する見解の、少なくともベースになっているのが“客観的”帰属論というもので、(行為時に)“客観的”に存在した全事情を基礎とする処理になじみます。
そのため、(行為時に)“客観的”に「被害者の病気」があるなら、「一般人は理解してないけど行為者は理解していた」という事情は使わずに、「被害者には病気があり、これと相まって行為には~という危険があったといえる」というように、“客観的”事情だけをあてはめるのが無難です。
「一般人は理解してないけど行為者は理解していた」という事情が使えなくてもったいないと感じるかもしれませんが、上記事情を使うのにかかる時間・紙面を他の点数稼ぎに充てた方が、ローリスク・ハイリターンです。
なお、司法短答平21-2では、“行為自体の危険性が結果へと現実化したものと認められる場合には,行為と結果との間の因果関係を肯定し,そうでない場合にはこれを否定する。行為の危険性は,行為時に存在した全事情を基礎に判断する。”という【見解】が提示されています。
2019年1月16日