民法予備試験平成30年短答過去問第7問設問エ

解説講義では、虚偽表示による無効の条文94条2項は検討する必要がなく、本設問で直接検討すべき詐害行為取消の条文424条のみを検討すればいいとのご説明でした。424条のみ当てはめを検討するにあたり、当該贈与により利益を受けたものから贈与物。転得した第三者は、その贈与にあたり知らないのは虚偽表示であり、債権者を害すべき事情を知らなかったとの事情がない。だから、424但し書きを適用できない。よって本設問は、当該贈与を、それを知らなかったとの事情がない転得者に対し、詐害行為取消の対象とすることができる、ということですか?
2018年12月29日
法律系資格 - 予備試験
回答希望講師:中村充
回答:1

ベストアンサー ファーストアンサー
中村充の回答

 424条の文言へのあてはめを検討する必要すらない旨の説明をしたつもりでしたが、舌足らずだったかもしれません。
1.
 「本設問」は、
“贈与が虚偽表示に該当することを知らない(94条2項の「善意の第三者」に当たる)転得者との関係において”は、
詐害行為取消権(424条)の要件を充たそうが何だろうが、
“当該贈与を詐害行為取消権の対象とすることはできない。”
というふうに読めます。
2.
 しかし、94条2項の世界と424条の世界は【次元が異なる】ので、転得者が94条2項に当たるとしても、“当該贈与”が424条の要件を充たすなら、これを“詐害行為取消権の対象とすることはでき”ると解されます。
 とすると、上記1のように読める「本設問」は誤りである。

…「本設問」は、このような“論理”で解くべきだと考えています。
上記論理の最大のポイントは、法的構成(条文)が異なると【次元が異なる】(≒別問題となる)という処理です。

2018年12月30日