①前提として、合併比率不公正の問題と利害関係人参加が必ず連動する訳ではないと思うので、もしその一連の流れを論パとして覚えているのだとすれば危険です。
お聞き頂いている論点を整理すると、
・決議取消事由があり合併承認決議が取り消されれば決議がないことになるので、重大な法令違反で合併無効事由になる。
・しかし、取消訴訟が確定しなければ現実の決議は有効で合併の効力を争えず、組織再編無効の訴えの出訴期間を過ぎてしまう。そこで、 組織再編無効の訴えのなかで決議取消事由を組織再編無効事由として主張するのを許すべき。
となりますね。これを書くなら、無効の訴え提起→無効事由は法的安定のため重大な法令違反に限る→承認決議の未了は重大な違法→決議取消事由があるので取り消されれば未了となり無効事由にあたる→しかし確定までは云々…といった順で最後の方に書くことになるでしょう。
②まず、価格決定申立てをしていれば、公正な価格を決めるのは全て裁判所です。
・Ⅰ組織再編が癒着なく適正な手続に則って行われ、かつ既存株主に会社の増加価値を公正に分配できていれば、その結果は組織再編を公表した後の市価に現れるはず、Ⅱ組織再編を行う役員は通常自社の株主利益を最優先に考えるから、癒着さえなければ適正な手続の履践と株主への公正利益分配は心配しなくてよかろう、という推論から、会社同士の独立性が保たれていれば裁判所は基準日(買取請求日等)の株価を基準に公正価格を決定します。
・そうした独立性がない場合には、株価には利益公正分配の結果が現れていない可能性があるので、裁判所は独自の裁量により公正な価格を決定します。
その際の仕分けがシナジー分配かナカリセバか、という話です。
ということで、裁判所が合理的裁量をもって決定するかどうかはむしろ最初に書くことになると思います。この辺りは判例も大分出揃ってきて、文献でもうまくまとめてくれているはずなので、復習してみてください。加藤貴仁先生や飯田先生の雑誌の解説は読みやすかった記憶があります。
2018年12月25日