処分性について

処分性について質問させてください。最判平成15年9月4日(労災就学援護費不支給決定)では支給決定に処分性が認められましたが、この判決からでは、法律のどの部分が処分性の肯定に影響を与えたか分からず質問させていただきました。自分では、最判平成24年3月6日(要綱による見舞金等の支給)と比較し、法律に「必要な基準は労働省令で定める」と規定してあること、通達に労災就学援護費が「法23条の労働福祉事業」として設けられていると記載があったことが重要だったのではと考えていますが、間違っていないでしょうか。
2018年12月14日
公法系 - 行政法
回答希望講師:伊藤たける
回答:1

ベストアンサー ファーストアンサー
伊藤たけるの回答

公権力性の問題ですね。法の支配ないし法律による行政の観点から、国又は公共団体が優越的地位に基づいて一方的に行う公権力の行使いは、法律上の根拠が必要です。

ご指摘のとおり、最3小判平成24年3月6日判タ1371号96頁は「本件一部負担金払戻金及び本件見舞金については,地公共済法上,これらを同法に基づく給付と位置付ける規定はなく,これらは,専ら本件定款又は本件要綱が定めるところにより支給されるものと解される」として、法律に基づく給付ではなく、定款や要綱が定めるものにすぎないことを理由に贈与契約であるとしています。
要するに、法律の根拠がないので、公権力性がなく、処分性が否定されたのです。

他方、労災就学援護費に関する最1小判平成15年9月4日集民210号385頁は、労働就学援護費を法23条の労働福祉事業と位置づけ、法律に基づく給付であることをを理由として、「法を根拠とする優越的地位に基づいて一方的に行う公権力の行使」であるとしています。
こちらは、法律上の根拠を与えて、公権力性があり、処分性が肯定されたと読めますね。

2018年12月14日


匿名さん
お忙しい中、迅速にご返答いただいたうえに、
どの要件の問題かをわかりやすくご提示いただきまして本当にありがとうございました。
勉強に生かさせていただきます。


2018年12月18日

わざわざコメントありがとうございます。
非常にいいご質問でしたので、これからも疑問を大切に合格まで頑張ってくださいね。

2018年12月19日