公権力性の問題ですね。法の支配ないし法律による行政の観点から、国又は公共団体が優越的地位に基づいて一方的に行う公権力の行使いは、法律上の根拠が必要です。
ご指摘のとおり、最3小判平成24年3月6日判タ1371号96頁は「本件一部負担金払戻金及び本件見舞金については,地公共済法上,これらを同法に基づく給付と位置付ける規定はなく,これらは,専ら本件定款又は本件要綱が定めるところにより支給されるものと解される」として、法律に基づく給付ではなく、定款や要綱が定めるものにすぎないことを理由に贈与契約であるとしています。
要するに、法律の根拠がないので、公権力性がなく、処分性が否定されたのです。
他方、労災就学援護費に関する最1小判平成15年9月4日集民210号385頁は、労働就学援護費を法23条の労働福祉事業と位置づけ、法律に基づく給付であることをを理由として、「法を根拠とする優越的地位に基づいて一方的に行う公権力の行使」であるとしています。
こちらは、法律上の根拠を与えて、公権力性があり、処分性が肯定されたと読めますね。
2018年12月14日