ご質問ありがとうございます。
そもそも、三段階審査論は、判例分析ツールであり、起案の型を提供するものではありません。
そのため、三段階審査論に基づき、「判例では」このように書くことが「認められる」という問いは、判例実務よりも法理論を優先するものとして、やや疑問が残るところです。
そのうえで、国民の「生の自由」をそのままとらえるのではなく、あくまでも「国家の行為」を憲法条項が保護している利益ないし禁止規範につなげるべきでしょう。
君が代起立斉唱拒否訴訟ならば、問題とすべきは「起立斉唱しない自由」ではなく、「起立斉唱を強制する国家行為」が問題なのです。
そのうえで、このような国家行為は、原告ならば、思想と不可分一体の行為として、思想強制であると主張することになるでしょうし、被告側としては社会的儀礼を求めるものにすぎないと反論するでしょう。
最高裁は、後者の問題ととらえつつも、一般的客観的に敬意という要素を含むことを理由に、間接的制約を認めました。
2018年12月11日