裁量について

裁量について質問させてください。
『事例から行政法を考える』p29にて、目的外使用については、裁量権の問題となり、目的内使用については、裁量の問題でないと判例はしていないとしていました。もっとも、泉佐野市民会館事件における園部逸夫補足意見には使用許可を裁量権の行使ととらえているとしています。補足意見と判例で矛盾しているのではないでしょうか?また、上尾事件や泉佐野事件において、憲法において、裁量を認定していましたが、判例によれば目的内使用において行政裁量の問題としていないことから記載しないほうが良いのでしょうか?
2018年11月21日
法律系資格 - 司法試験
回答希望講師:伊藤たける
回答:1

ベストアンサー ファーストアンサー
伊藤たけるの回答

該当書籍が手元にありませんので何とも言えませんが、多数意見をどのように解釈するのかは評価の問題です。
ご指摘の書籍の見解と園部補足意見とが合致していないとしても、それは多数意見の読み方の違いですから、必ずしも、園部補足意見と多数意見とが異なるというわけではありません。もちろん、そのように解釈することは可能でしょうが。

また、園部補足意見は、裁量権を前提としつつも、「右要件の設定あるいは右要件の解釈については、憲法の定める集会の自由ひいては表現の自由の保障にかんがみ、特に周到な配慮が必要とされる」として、要件の限定については許容しています。
したがって、目的内使用であっても、条文の要件次第では行政裁量が認められますが、事案の性質によって(とりわけ「公の施設」に関する場合には)限定解釈がなされる場合があるという理解でよろしいかと思われます。

2018年11月21日