天皇の任命権(6条)について

短答憲法を受講しているのですが、*7-2の表で内閣総理大臣の天皇の任命(6Ⅰ)に*内閣の助言と承認不要と書かれているのですが、平成25年の第14問を見ると、総辞職した内閣は、あらたに内閣総理大臣が任命されるまで引き続きその職務を行う(71条)ので、総辞職後に指名された内閣総理大臣の任命は、総辞職した内閣の助言と承認により天皇が行うことになるという解答と異なると考えるのですが、テキストの内容が間違っているのですか?それとも意図が違う所にあるのでしょうか?回答よろしくお願いします。
未設定さん
2015年10月13日
公法系 - 憲法
回答希望講師:伊藤たける
回答:1

ベストアンサー ファーストアンサー
伊藤たけるの回答

ご質問ありがとうございます。

6条の天皇の任命については、2つの立場があります。

1つは、内閣の助言と承認は単なる形式的・儀礼的に付加された要件であるから、内閣総理大臣の任命でも必要と解する樋口先生の見解です(注釈1・96頁)。

他方、伝統的な宮沢説は、助言と承認は実質的決定権であると解する立場であり、すでに他の機関が指名しているならば、助言と承認は無意味な手続であり、必要がないとする見解です(宮沢・全訂97頁)。

私は、平成18年第16問肢5の「憲法が定める天皇の任命行為は、すべて内閣の助言と承認に基づいて行われる」というものが×とされていることから、宮沢説の立場であると考えて、解説をしたものでした。

ところが、平成25年第14問アについて、〇になっているとなると、当時の司法試験員会は、宮沢説ではなく、樋口説を採用するようになっているのですね。

次回以降の参考とさせていただきます。
ご指摘ありがとうございました。

2015年10月14日


未設定さん
ありがとうございました。
受験時期で試験委員会の立場が変わるとすると勉強しずらいですね。

伊藤先生のご回答から考えたのですが、6条2項の場合では、「内閣の指名」で十分であり「内閣の助言と承認」は不要である(「指名」に「助言と承認」が含まれている)といえるが、6条1項の場合では、71条があるので、「内閣の助言と承認」が必要であると考えると、平成18年第16問肢5も統一的に考えることができるようにも思いました。しかし、そのような学説はなさそうなので、とりあえず樋口説を覚えておきます。

また、質問をさせて頂くことがあると思いますが、宜しくお願いします。

2015年10月14日