不作為犯では、当該不作為が実行行為といえるか(作為犯と構成要件的に同価値といえるか)をまず判断します。
そこでは、作為義務(いくつかの学説はありますが、大要、排他的支配や危険創出を念頭に置いて判断します)や、(当該具体的事案において期待される)作為の容易性・可能性、(当該具体的)結果回避可能性を検討します。
そして、当該不作為に実行行為性が認められた場合は、因果関係の判断に移ります(当該不作為に実行行為性を認めた以上、ここでの判断は、未遂か既遂かを区別するということです)。
さて、不作為の因果関係は、いわゆる「あれなければ、これなし」という公式で判断することはできず、それを修正した「あれあれば、これなし」(当該期待された行為があれば、当該結果は生じなかった)という公式で判断します。もちろん、因果関係の問題である以上は、事実レベルの問題である条件関係では足りず、評価レベルの問題である法的因果関係まで含めた判断をすることは必要です。
2018年8月7日