回答が遅くなり、申し訳ございません。
【結 論】
109条1項の放火罪が成立します。
【理 由】
居住者の同意により、居住者の生命・身体の危険の要保護性が失われ、これにより、「現に人が住居に使用し」・「現に人がいる」のいずれも否定されます。
おそらく、居住者の同意により「現に人が住居に使用」は否定されるが、同意した居住者が建造物内に現に存在する以上、「現に人がいる」という構成要件に該当するのではないかという疑問だと思います。
しかし、現に建造物に居住してる人は、「現に人が住居に使用」という要件における『現に住居として使用している人』であるとともに、「現に人がいる」という要件における『現に建造物内にいる人』でもありますから、
このような人が、放火につき同意しているのですから、「現に人が住居に使用し」・「現に人がいる」のいずれも否定されることになるのです。
なお、被害者の同意が無効なるという構成にはなりません。「現に人が住居に使用し」・「現に人がいる」という構成要件に係る保護法益は、『現に住居として使用している人』『現に建造物内にいる人』の生命・身体という個人的法益だからです。
もちろん、同意をした居住者のほかに、例えば来客(『現に建造物内にいる人』)がいる場合には、居住者の同意は、来客には及ばないので、「現に人がいる」という構成要件が残ることとなり、108条1項の放火罪が成立することになります。
2015年9月29日