被害者の承諾が放火罪に及ぼす影響について

刑法の放火に関して質問です。
刑法の択一で、被害者の承諾が放火罪に及ぼす影響について勉強しています。
現に居住者の人が住居におり、その人が放火に同意した場合に、行為者が当該住居を放火すると、何罪が成立するのでしょうか?
現に人がいる状態で、放火するのですから、108条に該当しそうです。このように考えるならば、放火につき、被害者の同意は無効と考えるという理解でよろしいのでしょうか?
未設定さん
2015年9月24日
その他 - その他
回答希望講師:加藤喬
回答:1

ベストアンサー ファーストアンサー
加藤喬の回答

回答が遅くなり、申し訳ございません。

【結 論】
 109条1項の放火罪が成立します。

【理 由】
 居住者の同意により、居住者の生命・身体の危険の要保護性が失われ、これにより、「現に人が住居に使用し」・「現に人がいる」のいずれも否定されます。

 おそらく、居住者の同意により「現に人が住居に使用」は否定されるが、同意した居住者が建造物内に現に存在する以上、「現に人がいる」という構成要件に該当するのではないかという疑問だと思います。

 しかし、現に建造物に居住してる人は、「現に人が住居に使用」という要件における『現に住居として使用している人』であるとともに、「現に人がいる」という要件における『現に建造物内にいる人』でもありますから、

 このような人が、放火につき同意しているのですから、「現に人が住居に使用し」・「現に人がいる」のいずれも否定されることになるのです。

 なお、被害者の同意が無効なるという構成にはなりません。「現に人が住居に使用し」・「現に人がいる」という構成要件に係る保護法益は、『現に住居として使用している人』『現に建造物内にいる人』の生命・身体という個人的法益だからです。

 もちろん、同意をした居住者のほかに、例えば来客(『現に建造物内にいる人』)がいる場合には、居住者の同意は、来客には及ばないので、「現に人がいる」という構成要件が残ることとなり、108条1項の放火罪が成立することになります。



 

2015年9月29日