適用違憲→法令違憲の筋?

最近刊行された宍戸常寿編『憲法演習ノート…憲法を楽しむ21問』の232頁4行目に「適用違憲→法令違憲という筋から行けば」という記述が見られます。
今まで検討の手順は①法令違憲(文面審査)②法令違憲(内容審査)③適用違憲④処分違憲となると思っていたのですが、上記のような検討の筋もありうるのでしょうか?
未設定さん
2015年9月19日
公法系 - 憲法
回答希望講師:伊藤たける
回答:1

ベストアンサー ファーストアンサー
伊藤たけるの回答

ご指名ありがとうございます。
伊藤たけるです。

あり得ます。
平成20年採点実感4ページのエにあるカッコ書きがこれにあたります。
http://www.moj.go.jp/content/000006427.pdf

これは、伝統的なアメリカ憲法学の立場であり、原則として裁判所は適用違憲をすべきであり、法律を違憲とすべきではないという、司法消極主義を徹底した立場になります。
この場合、適用違憲で処理するのが原則です。

ただ、適用審査から進めて、法令の目的が違憲なとき、すべての適用事例で違憲といるとき、漠然不明確なときと過度に広範なときなどは、例外として、法律そのものを違憲として無効にできます。
芦部憲法は、後者の2つを文面審査としていましたので、この立場をとっていたように考えられます。

ただ、我が国の最高裁は検討順が逆であり、法令から適用に進みますよね。
なので、採点実感もカッコ書きに押し込めています。

2015年9月20日


未設定さん
そういうわけでしたか…
ありがとうございました!

2015年9月28日

これ、受験生的には超気になりますよね笑。
なので、僕はこれをテーマにしたリサーチペーパーを書きましたね。

ただ、駒村先生や宍戸先生が指摘するとおり、脳内の思考過程としては、やはり適用→法令という感じで進み、論じる順番では、法令→適用とするというのが、感覚には合致します。

なので、演習ノートの西村先生は、そのことを言いたかったんだと思います。
解説も、検察官の思考過程をトレースした形になってますしね。

2015年9月28日