民事実務基礎科目第7回目の解説について

こんにちは。

民事実務基礎科目の平成24年、設問3の解説につき、わからない点があるため質問させていただきます。

解説では、留置権の抗弁に対する一部弁済の再抗弁により残額が減少し、減少額で引換給付判決をするとのことでした。この点につき私は、Yは相殺援用の意思表示をしており、主張共通により、Xが援用しなくても裁判所はこの事実を斟酌できる結果、Yの債権は全額消滅しており留置権の抗弁は成り立たないのではないかな、と思っておりました。この思考過程のどこかに勘違いがあるのだと思いますが、どこが間違っているのかがいまいちわかりません。ご教示いただけたら幸いです。

宜しくおねがいいたします。
未設定さん
2018年5月27日
法律系資格 - 予備試験
回答希望講師:伊藤たける
回答:1

ベストアンサー ファーストアンサー
伊藤たけるの回答

ご質問ありがとうございます。
この質問は複数回受けているのですが、Yの留置権の抗弁に対して、Xが相殺の再抗弁を主張しているのかが問題になりますね。

この点について、おそらく「Y」が相殺の意思表示をしていることを、主張共通によって、裁判所が斟酌できるから、Xによる相殺の再抗弁が認められ、留置権の抗弁を阻止できるというお考えなのでしょう。
しかし、そもそも主張共通は「事実」に関するものですし、Xによる相殺の再抗弁に必要な要件事実は「Xによる」相殺の意思表示であり、「Yによる」相殺の意思表示ではありません。
したがって、そもそもXが相殺の再抗弁を主張していない以上、そのような判断をすることはできません。

ちなみに、岡口基一『要件事実入門 初級者編』も、上記のような説明はありませんが、引換え給付判決との結論です。
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2018年5月30日