刑訴法102条2項の使い方

場所に対する捜索差押許可状で偶然居合わせた者の携帯物や身体に捜索するときには隠匿したと疑うに足りる合理的理由が求められますが、これは102条2項と何が違うのでしょうか。102条2項の具体的な表れが隠匿したと疑うに足りる合理的理由なのでしょうか。
2018年5月10日
刑事系 - 刑事訴訟法
回答希望講師:国木正
回答:1

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国木正の回答

回答が遅れ、本当に申し訳ございません。
通知を見逃しておりました。

場所に対する捜索令状のみが発付された場合、捜索場所管理者(またはそれ以外の者)が自己の身体に目的物を隠匿したとしても、当該身体自体を捜索することはできません。これは、場所を対象する捜索令状の効力が身体に及ばないからです。もっとも、隠匿行為が捜索に対する妨害行為と評価される場合は、妨害排除措置として隠匿した物をもともとの捜索場所に戻させることができます。
付言すると、隠匿行為に及んだ者が捜索場所管理者であるか、またはそれ以外であるかは、この論点を解決するにあたり直接関係ありません。場所に対する令状の効力は、捜索場所管理者であろうが誰であろうが、身体には及ばないからです。
そして、隠匿行為を現認した場合とするか、または隠匿行為に及んだ蓋然性がある場合とするか、あるいは隠匿行為に及んだと疑うに足りる合理的理由がある場合とするかは学説によって異なりますが、いずれにせよ、これらはいかなる場合に妨害排除措置を行い得るかという観点からの限界づけです。
したがって、合理的理由という言葉遣いをここで使うとしても、102条2項にいう合理的理由とは位置づけが異なります。

2018年5月13日