間接的規制とは、権利行使それ自体を制約するのではなく、ある行為を制約した結果として、権利行使にも影響が及ぶものをいいます。
基本的には思想・良心の自由や信仰の自由などの内心の自由に対する制約概念と位置付けられますね。
君が代起立斉唱事件が典型的ですね。また、表現の自由の保護範囲を意見表明そのものだけととらえると、表現手段に関する規制は、その結果として意見表明の機会が奪われるので、間接的規制といえます(ただし、通常は表現行為も保護範囲に含めるので、間接的規制とはいわず、直接制約として分類されますが)
他方、付随的規制とは、権利行使そのものではなく、他の正当な目的のための規制が、たまたま権利行使にも及んでしまったことをいいます。
これは精神的自由全般にありえる態様であり、たとえば、日曜参観事件における欠席扱いとした処分が典型例ですね。
また、加持祈祷事件における殺人罪そのものの合憲性を問う場合、立川ビラ事件で住居侵入罪そのものの合憲性を問う場合も付随的規制になるといえますが、実際の事件では法令違憲を主張せず、適用違憲が主張されています。
なお、判例のいう間接的・付随的規制は、既に用いられていない概念ですが、上記で例示した表現の自由の保護範囲を意見表明そのものだけに限定し、行動を伴う表現のうち、行動に対する制約を間接的・付随的規制として片付けようとしたものです。
また、長谷部説でいうところの間接的・付随的規制とは、判例とは別に、一見すると表現内容規制のものを表現内容中立規制として扱おうとするアメリカ合衆国連邦最高裁の議論です。
まとまっているものは、入門用としては私と木下先生の基本憲法1や、曽我部先生らの憲法論点教室ですね。
上記のすべてがカバーされているのが、私の受験新報連載「憲法 論文の流儀」の表側の自由はの回です。2015年11月号〜2016年1月号ですね。
2018年5月3日