ご回答いたします。
①そもそも「行政指導」に当たるかが問題となる場合もありますね。その場合は「処分」ととらえて取消訴訟を提起することも考えられます。また、行政指導に続く処分が予定されている場合には、後続する処分の差止訴訟でも争えるでしょう。それ以外にも、当該行政指導に従う義務のないことの不存在確認といった当事者訴訟でも争えますね。
ご質問の国賠訴訟では、「公権力の行使」についてもう一度復習をしておきましょう。
狭義説と広義説とで、ご質問の帰結が変わるように思います。
また、行政指導の任意性が争われた超有名な武蔵野市負担金事件判決(最判平成5年2月18日民集47巻2号574頁)がどの要件に、どのようなあてはめをしているのかも参照してみてください。
なお、行政法の争点の中川先生のご論稿も参考になりますので、あわせてご確認ください。
②「品川規範」が何を意味しているのかによもりますが、判決要旨の「建築主事に対し右申請に対する処分が留保されたままでは行政指導に協力できない旨の意思を真摯かつ明確に表明して当該申請に対し直ちに応答すべきことを求めたとき行政指導に対する建築主の不協力が社会通念上正義の観念に反するといえるような特段の事情が存在しない限り、行政指導が行われているとの理由だけで右申請に対する処分を留保することは、国家賠償法一条一項所定の違法な行為となる」という部分ならば、事例判断ですので、極論を言えば、当該事案の「重要な事実」( 建築主が、建築確認申請に係る建築物の建築計画をめぐつて生じた付近住民との紛争につき関係機関から話合いによつて解決するようにとの行政指導を受け、これに応じて住民と協議を始めた場合)が妥当する場合にしか適用されません。
ディフォルメするならば、ご指摘のように「行政指導に伴う処分の留保」というよりも、「行政庁が処分を保留して行政指導を行ったところ、これに一度は従った事案」に適用される、という程度にとどまるでしょう。
③不作為の違法確認の訴えは、平成16年改正で申請型義務付け訴訟が定められたことに伴い、これと併合提起するためのものとして機能しています。
「相当の期間」については、東京地判昭和39年11月4日判タ168号107頁がリーディングケースです。
「相当の期間経過の有無は、その処分をなすに通常必要とする期間を基準として判断し、通常の所要期間を経過した場合には原則として被告の不作為は違法となり、ただ右期間を経過したことを正当とするような特段の事情がある場合には違法たることを免れるものと解するのが相当」という判断枠組みは有名ですのど押さえておきましょう。
ディフォルメすれば、原告側は「通常必要とする期間の経過」を、被告側は「その期間の経過を政党かするような特段の事情」を、それぞれ主張することになります。
なお、具体的な主張としては、根拠法規に期間が定められているか、標準処理期間はあるかが問題となります。
それ以外にも、行政庁が個別に予定期間を通知している場合には、それすらも守れていない、という主張をすることになるでしょう。
反対に、期間が定められていない場合には平均審理期間を主張・立証することになります。
2018年3月27日