両者は難しいところですよね。裁判例でも事実がかぶっていることは見かけます。
心がけるべきは、原告適格はあくまでも「法律上保護された利益のあてはめであることです。
準用される9条2項によると、考慮事項は㋐「当該法令の趣旨及び目的」と㋑「当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質」の2つですが、㋑は、生命、身体ないし重要な財産であれば、当然に個別的に保護されるであろうという趣旨のものです。
それに満たないレベルの場合、サテライト大阪事件判決によれば、基本的には㋐がメインであり、法令に手がかりとなる文言がないのに㋑のみで原告適格を認めることは難しいでしょう。
非申請型義務付け訴訟の「重大な損害」要件は、法令上の申請権がないにもかかわらず、これを付与するに等しいことから、救済の必要性が高い場合に限る趣旨ですから、これに合致するような形で主張するべきです。
この要件は、原告適格の㋑と不利益や損害の種類のレベルでは共通する可能性がありますが、いずれも要件の趣旨が異なることや、原告適格はあくまでも㋐がメインだということを意識すれば、あてはめを区別することはできるでしょう。
2018年3月9日