犯意誘発型のおとり捜査であっても、「強制の処分」には該当せず、任意捜査と考えるのが通説です。
なぜならば、捜査機関側が犯意を誘発していますが、あくまで誘発しているだけで本人の意思に基づいて犯行に及んでいます。ですから、意思を制圧したとは評価できないからです。つまり、①意思を制圧し、②重要な権利利益を侵害する処分という「強制の処分」該当性の要件のうち、①を否定するわけです。
②については、意思の決定権が侵害されるとする学説もあるようです(事例演習刑訴法第2版149頁、酒巻172参照)。
2018年2月19日