ご質問ありがとうございます。
(オススメの憲法判例集)
オススメの判例集というと、難しいのですが、
判例百選に書いてある限度では押さえておくとよいでしょう。
http://amzn.to/1O0BfOI
http://amzn.to/1O0BglI
余裕があれば、判例プラティス憲法(信山社)もよいですね。
http://amzn.to/1LWVDwR
ただ、これらの判例集は、反対意見があまり記載されていないため、対立の構造をつかみにくいことがあります。
その意味で、これらの条件を満たすのは判決原文となります。
印刷が面倒であれば、長谷部先生ほか「ケースブック憲法」(弘文堂)を判例集のかわりに活用するとよいでしょう(分厚いですが)。
http://amzn.to/1VN3B08
(判例集の勉強方法)
判例集の勉強方法は次のとおりです。
まず、事案の概要と判決文を読んで、
①訴訟物の把握
②争点の把握
③判断枠組み
④判断枠組みを導出した理由(権利論、制約論、立法裁量論など)
⑤あてはめ(事実の適示と評価、反対説への応答)
⑥結論
を区別します。
次に、判例評釈を勉強しましょう。
まず、個別意見を読んで、①~⑥のどのレベルに対する批判をしているのかを把握します。
次に、判例解説などを読んで、同じく、多くの学説が①~⑥のどのレベルに対する批判をしているのかを把握しましょう。
これらの作業を通じて、【主張】【反論】のネタのストックを増やすことができます。
判例の射程といった議論は、基本的には、④や⑤のレベルにより決定されることが多いでしょう。
問題は、これをどこまでやるのかといった議論でしょう。
少なくとも、判例百選の掲載判例を頭からすべてしらみつぶしにやる、、、といったことは、一部の例外を除いて、通常の人間ならばできません。
そこでオススメなのは、次の方法です。
①短答式試験問題を解きながら学習する
短答式試験では、最高裁判例の見解は?という問題に、有力な学説による批判を混ぜ込み、×を付けさせる問題があります。
そのため、短答式試験問題を解くことで、判例に関する知識は自ずと増えるはずです。
②論文式試験問題を解きながら学習する
また、論文式試験問題を解いて、学者の先生による解説において、判例が登場した場合、本当にそんな考え方できるの?という、ある種の疑いを持って、判決の原文を読んでみるとよいでしょう。
私のメインの勉強方法はこれでした。
なお、判例に射程を学習するためには、
松本和彦先生と宍戸常寿先生による「憲法事例問題を対話する」(法学教室2015年1月号)がおすすめです。
2015年9月9日