ご質問ありがとうございます。
問題文を見ていないので、何とも回答することが難しいのですが、仮に、国民投票により、国会の議決を経ないとしても、国民の権利を制限する法律を制定できるという前提で解説いたします。
ご指摘のとおり、憲法41条の「唯一の立法機関」の趣旨に反するかどうかが中心的な争点です。
直接民主制の制度については、憲法41条違反の検討の中でしなければなりません。
まずは、憲法上の直接民主制のような制度を列挙するべきです。
憲法改正の国民投票、地方特別法の住民投票、最高裁裁判官の国民審査などの他、憲法上のものではないとしても、地方自治においても一定の限度で認められていますね。
その上で、これらは「原則」となる憲法41条の「例外」なのか、それともこれらの制度こそが「原則」であり、実際上の困難の観点から憲法41条が国政のみを「例外」としているのかという思考方法になるはずです。
憲法41条が本当に「原則」なのであれば、憲法上の規定がないような「例外」を認めるべきではないという結論につながります。
反対に、憲法41条が「例外」なのであれば、憲法上の規定がなくとも、合理的な理由があれば「原則」に適合するものとして許容されます。
これらを判断するためには、憲法41条の趣旨を「歴史から」検討するべきです。
例えば、①直接民主制を実施するのは実際上できないとの根拠は、一部の要件を満たした場合に限定すれば可能となりますので、理由にはなりません。
②次に、歴史的に直接民主制の制度は、諸外国で機能していないから、ないしは多数派の横暴を許す危険があることならば、憲法41条を原則とすべきです。
③さらに、国民には高度に専門的な判断をする時間的余裕などがないことを理由としているならば、実際に最高裁判官の国民審査が機能していないという歴史により裏付けられているため、やはり憲法41条が原則となります。
このように、諸外国の実例や我が国の歴史を織り込むことこそが、超優秀答案です
なお、受験生的な守りの答案ならば、直接民主制ではなく、間接民主制を採用したメリットに関する論証を書くべきでしょう。
単に原則論が「そうなっている」と論じたところで、他の受験生と優位な差がつくとは思いませんからね。
2015年8月16日