共謀の射程の機能について

「XY間でAを脅迫 手段はナイフで脅すだけ、刺したり切ったりは絶対やらない、仮にすれば自己責任」の共謀内容で、Xが独断でナイフでAを傷害した場合は故意で絞らず、共謀自体否定されるでしょうか。

よろしくお願いいたします。
2017年9月22日
法律系資格 - 司法試験
回答希望講師:伊藤たける
回答:1

ベストアンサー ファーストアンサー
伊藤たけるの回答

専門外なのでよくわかりませんが、共犯論の考え方によって変わるように思います。
共犯は行為を共同するので、ナイフで脅すことの共謀があれば、その共同行為については帰責できると考えれば、ナイフ使用は自己責任との合意があっても、共同行為と因果関係のある結果は帰責できると考えることができるでしょう。
他方、詳しくないのでなんともいえませんが、共謀の範囲を構成要件単位で考えるならば、共謀は脅迫罪までにすぎないとの考えもあり得るかもしれませんね。
もっと詳しいことを知りたい場合は、刑法の研究者に質問をするか、https://bexa.jp/questions/view/425 にある連載や文献をあたってみてください。

2017年9月22日


匿名さん
ご多忙中、ありがとうございます。
共謀は脅迫罪までにすぎないと考えるには、「XY間でAを脅迫 手段はナイフで脅すだけ、刺したり切ったりは絶対やらない、仮にすれば自己責任」の事例に何をプラスすればよいのでしょうか。
新H20年刑法過去問には、「窃盗の共謀して、強盗になるか?」の事例が出題されています。窃盗から強盗の距離感とナイフ脅迫から傷害・死の結果発生の距離感を比較すれば、大差ないように思われますが、どのように理解すればよいのでしょうか。よろしくお願いいたします。

2017年9月26日

前段については、なかなか難しいように思います。
共謀の範囲が脅迫罪の実行行為だとしても、そこから相当因果関係のある結果は、各共犯者に帰責することができると考えるからです。ただし、YにはXの行為について錯誤があるので、故意を否定するのが通常ではないかと思います。
もしかしたらそれ以外の見解もあるかもしれませんが、このあたりは刑法を専攻しておられる先生に尋ねてみてください。

平成20年新司法試験については、様々な処理があると思います。
共謀については窃盗罪の限度だという処理もあり得ますし、共謀については窃盗行為だけれども、実行行為から相当因果関係のある強盗の結果を帰責させたうえで、共犯の錯誤として恋を阻却する処理もあり得るでしょう。
このあたりはご自身のよって立つ見解に依存すると思いますが、佐伯先生や橋爪先生の連載に記載があったと思いますので、そちらをあたってみるとよいでしょう。

2017年9月26日