司法試験ではそのように検討しても別に構わないと思います。
ただ、一般的にはそのようには考えられていないようです。
内田先生も「重畳的といっても、112条の善意・無過失を認定して基本代理権の成立をまず認め、次いでこれをもとに110条の正当理由を認定する、といった形式がとられるわけではない。これは109条と110条の場合も同じであるが…」(内田民法Ⅰ)と述べられております。
では、どのように考えるのかと言うと、これらの規定の背後にある一般的な権利外観法理の適用となり、相手方の信頼要件が厳格に判断されることになるのでしょう。
内田先生も同様のことを述べられています。
要するに、いくつかの表見代理を重畳的に適用するということは、無権代理人の違反の度合いが大きいということですから、本人の帰責性が小さくなる分、相手方の注意義務が高く要求されるということだと思います。
ただ、先に述べたように、110、112それぞれを検討しても司法試験では全く問題ありません。その方が試験としては楽な問題もあるでしょう。そこまで考えられている受験生はほとんどおりませんので。109と110でも同様です。
2015年4月13日