違憲審査基準を立てる際の理由付けについて

 答案練習会や問題集の参考答案に「厳格な審査が妥当しないため、中間的な審査基準を用いるべきである」旨の記載がなされていることがあるのですが、個人的に理由付けに違和感を感じています。言いたいことは分かるのですが、これではその審査基準を採用した理由にはなっていないと考えるからです。
 この場合、どのような表現をすれば説得的な理由付けとして評価されるのでしょうか。
 お忙しいところ申し訳ありませんが、ご回答よろしくお願いいたします。
2017年7月5日
公法系 - 憲法
回答希望講師:伊藤たける
回答:1

ベストアンサー ファーストアンサー
伊藤たけるの回答

ご指名ありがとうございます。

まず、違憲審査基準は、アドホックに発明できるものではありません。
そのため、踏み台とすべき判例や学説を論じ、その判例や学説の想定する事案類型に本件があてはまるのかを論じるべきです。

万が一、判例も学説も存在しない分野の場合、他の似ている憲法上の権利と整合性のとれる違憲審査基準を類推するべきでしょうね。

たとえば、厳格審査基準の事案類型にあてはまらないならば、別の事案類型を想定すべきです。
別の事案類型が存在しないならば、違憲性の推定があるのか、それはなぜかという順序で論じ、違憲性が推定されるなら中間審査基準、そうでないならば合理性の基準を適用すべきだと論じることになるでしょう。

高橋説などは、憲法81条を根拠に、憲法上の権利に対する制約があるならば、違憲性を推定させ、通常審査を原則としていますね。
そのうえで、個別の権利で特別な理由があれば違憲性を強く推定した厳格審査基準や、反対に、立法裁量を尊重せざるを得ないならば合理性の基準を適用しています。
私はこの見解ではありませんが、受験生にとっては使いやすいのかもしれません。

2017年7月5日


匿名さん
ご回答ありがとうございました。

2017年7月5日