選択科目として労働法を選択することについて

現在司法試験の選択科目としてどの科目を選択すべきか悩んでいます。

具体的には、国際私法・倒産法・労働法あたりが自分の興味との関係で候補となっているのですが、どのようなことに意識して選択科目を選べばいいのか、いまいち分かりません。

そこで、選択科目を選ぶ時のポイントや、他の選択科目と比較したときの労働法選択のメリット・デメリットなどを教えていただきたいです。

もし労働法以外の選択科目に関してもなにか注意すること(「この科目は面白いけど難しい」など)がありましたら、ご忠告下さい。
未設定さん
2015年7月28日
選択科目 - 労働法
回答希望講師:加藤喬
回答:1

ベストアンサー ファーストアンサー
加藤喬の回答

1.選択科目を選ぶ時のポイント
 一番は、自分が将来的に実務で使いたいと考える科目を選ぶべきだと思います。

 学習中のモチベーションにもつながりますし、司法試験合格後に選択科目を横断的に学習することは非常に困難だからです。

 私の場合、自分の大学時代のアルバイトでの経験から、中小企業における労働者側の弁護活動に強い関心を持っていたので、そういった気持ちから、労働法を選択しました。今では、当時の気持ちに変化はありません。

 
2.他の選択科目と比較したときの労働法選択のメリット・デメリット
 デメリットは、労働法は、出題範囲が広いことに加え、近年、判例について深い理解を問うような傾向になってきているので、インプットが苦な人には辛い科目です。

 労働法の試験で問われていることのほとんどは、判例の正確な理解と知識であり、基本7科目に比べて現場思考の要素が非常に少ないです。どんなに優れた現場思考を示しても、論述の大前提となる判例の判断枠組み・当てはめの方向性を意識した論述ができていなければ、ほとんど評価されません。これが、他の科目との決定的な違いです。

 反対に、労働法では、判例の知識の質と量が得点に直結してくるので、判例の正確な知識さえあれば、安定して高得点をとることができます。なので、インプットが得意な人にとっては非常に有利な科目です。

 また、他の選択科目、特に倒産法や知的財産法と違って、いきなり過去の出題傾向と異質な出題がされるということも、少なくともこれまではありませんので、出題傾向が安定しているというメリットもあります。


3.労働法以外の選択科目について
 法曹三者のうち、いずれの道に行くにせよ、倒産法の知識は必須です。倒産法ができないと、特に弁護士の仕事ができません。多くの事件は、潜在的に倒産法の問題を抱えているからです。また、下記で説明する知的財産法と異なり、横断的な知識がないと、仕事で使い物にならないないので、今の段階からしっかりと時間をかけて勉強しておくと、実務に出てから大きな武器になると思います。

 なので、倒産法もお勧めです。自分の修習同期でも、修習後に倒産法の勉強をしている人が多いです。

 知的財産法については、私自身、知人の事業や講師活動との関係で非常に強い関心を抱いている法律でありますが、仕事面でいうと、知的財産法専門の法律事務所でない限り、なかなか使うことがないですし、プライベートで問題になった場合には関連部分だけを断片的に勉強することでだいたいは対処できます。

 なお、修習同期では、既習1年目には選択科目を複数選択し、2年目の段階で最終的に絞り込むという人がけっこういました。

2015年7月28日


未設定さん
ありがとうございます。
労働法以外の選択科目についても詳しく教えていただき、非常に助かりました。
本試験での選択のみならず、ロースクールの履修選択等に関しても参考にして、もう少し自分なりに検討してみようと思います。

2015年7月28日