1.民事訴訟法の勉強方法
和田先生は、旧司法試験の試験委員であったということもあり、「基礎からわかる民事訴訟法」はお勧めの一つです。
そのうえで、どのように勉強するかですが、おそらく、司法試験の出題傾向との関係で、何をどうインプットすればいいのかが明確化できていないのだと思われます。
私は、判例百選と重点講義ベースでの勉強でしたが、判例百選では判例を勉強し、重点講義では、細かい学説論点には基本的に踏み込まずに、『民事訴訟法における知識の問われ方に照らして、基本概念についてどこまでおさえておけばこれを本試験の現場で使いこなせるか』という視点から、これに必要な範囲で、当事者適格・訴えの利益・二重起訴禁止・訴訟物・処分権主義・弁論主義・裁判上の自白・自由心証主義・既判力といった重要な問題領域における基本概念の理解を深めていくとともに、それによって得られた理解をノートにまとめていました。
まとめる過程で、理解が深まるとともに、まとめた時点における理解が形に残るので、復習の際に自分の理解がどう違っていたのか、あるいはどう不足していたのかということにも気がつけるため、そういった意味でも、まとめは非常に有効であると考えています。
また、判例百選では、解説まで全部読み、それでも理解できない場合には重点講義で調べるなどして、判例の事実関係、判断枠組み、論拠などについて、端的にでいいので、ノートにまとめることが有益であると思います。
2.モチベーションの維持
私も、モチベーションが続かず、2年目も不合格になった上に、3年目は受け控えましたが、4年目はしっかりとモチベーションを維持することができました。
中には、軽々と「気分転換も大事」という人がいますが、気分転換は、「必死に勉強しているときに」にはじめて意味を成すものであって、中だるみ状態での気分転換は、自分をどんどんと楽な方向を導き、かえって、モチベーションの低下を招きます。
まずここで大事なことは、①勉強をしない期間は「成長がストップする」のではなく、「どんどんと現状のレベルが下がっていく」のだということをどれだけ意識できるかです。
「成長する」だけの勉強量はこなせなくとも、せめて「現状をキープする」ための勉強量はこなさなくてはなりません。
ですので、モチベーションをどう維持できるかどうかを考える前に、まずは、「現状をキープする」ための勉強量はかならず確保してください。
次に、②「何番くらいで合格したい」という抽象的な目標を掲げるのではなく、「絶対に〇〇番で合格する」という明確かつ高い目標意識を持ってください。そうすることで、自分の現状と目標との間の距離が明確になり、目を背けることが出来なくなるので、「まだ足りない」「これでも足りない」という気持ちから、中だるみどころではなくなります。
そして、③自分の現状と目標との距離を明確に認識するためには、インプットだけでなく、定期的に目標意識をもって答案を書いてください。私の場合、一昨年の今の時期は、1日1通ペースで過去問を書き、9月までの間には過去問をすべて書ききり、全科目において書き方を完璧に習得していました。だからこそ、各科目特有の出題傾向や答案の書き方に照らし、自分に何が足りないのかが明確に分かりますので、有効なインプットをすることができました。
モチベーション維持のためには、①ないし③には考え付きません。9月までにどれだけ勉強できたかで、来年の合否はほぼ決まっていると思います。
2015年7月28日