ご指名ありがとうございます。
同一目的・直接利用という昭和61年判決の判断枠組みと、端的に密接関連性を問う平成15年判決の判断枠組みについては、様々な立場があり得るところで、使い分けというよりも、前者が後者の下位規範であるとの理解が、個人的にはしっくりくるところです(古江頼孝『事例演習刑事訴訟法〔第2版〕』(有斐閣)414~416頁参照)。
行政事件訴訟における違法性の承継は、全くの別問題です。
要するに、処分性がある処分がなされ、出訴期間を経過した後は、当該処分を争えなくなるという不可争力が発生するため、後続する行政処分に対する訴訟において、先行する行政処分の適法性を争うことは、不可争力に反します。
もっとも、一定の例外事由に該当する場合には、先行する行政処分の違法性が後続の行政処分に承継され、不可争力を生じないと解するべき場合があり、これが違法性の承継として議論をされているところです。
次の判例と調査官解説をチェックしておきましょう。
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=38272
2017年5月16日