違法性の承継について

違法収集証拠排除法則の際の同一目的直接利用の基準と密接関連性の基準の使い分けはどのような点にあるのでしょうか。また、刑訴法における違法性の承継と行政法における違法性の承継の共通点と相違点は何なのでしょうか。
2017年5月16日
刑事系 - 刑事訴訟法
回答希望講師:伊藤たける
回答:1

ベストアンサー ファーストアンサー
伊藤たけるの回答

ご指名ありがとうございます。
同一目的・直接利用という昭和61年判決の判断枠組みと、端的に密接関連性を問う平成15年判決の判断枠組みについては、様々な立場があり得るところで、使い分けというよりも、前者が後者の下位規範であるとの理解が、個人的にはしっくりくるところです(古江頼孝『事例演習刑事訴訟法〔第2版〕』(有斐閣)414~416頁参照)。

行政事件訴訟における違法性の承継は、全くの別問題です。
要するに、処分性がある処分がなされ、出訴期間を経過した後は、当該処分を争えなくなるという不可争力が発生するため、後続する行政処分に対する訴訟において、先行する行政処分の適法性を争うことは、不可争力に反します。
もっとも、一定の例外事由に該当する場合には、先行する行政処分の違法性が後続の行政処分に承継され、不可争力を生じないと解するべき場合があり、これが違法性の承継として議論をされているところです。
次の判例と調査官解説をチェックしておきましょう。
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=38272

2017年5月16日