労働法の試験で問われていることのほとんどは、判例の正確な理解と知識であり、基本7科目に比べて現場思考の要素が非常に少ないです。
どんなに優れた現場思考を示しても、論述の大前提となる判例の判断枠組み・当てはめの方向性を意識した論述ができていなければ、ほとんど評価されません。これが、他の科目との決定的な違いです。
このように、労働法では、現場思考だけで得点を伸ばすことは不可能であり、その反面、判例の知識の質と量が得点に直結してくるので、判例の正確な知識さえあれば、安定して高得点をとることができます。
そして、労働法で問われている判例の知識とは、
①理論面では、判例の理由付け・判断枠組み(規範+判断要素)
②当てはめでは、判例がいかなる事実関係に着目して規範、さらには各判断要素についてどのような評価をしたのかということであり、
基本書や判例集で、①及び②の観点から判例を勉強していきました。
また、平成25年の採点実感では、『司法試験が実務家となるための試験であることを踏まえれば、たとえ判例と異なる立場に立つとしても、判例で示された判断の枠組みに言及できていない答案は、これに言及している答案に比して、高い評価を得られないことを十分に認識してほしいところである』と指摘されていることから、基本書等で学説から判例が批判されている論点についても、自分なりに説得的な理由付け等を考えて、しっかりと判例の立場で論証できるように準備しておきました。
2015年7月27日