1.労働法の学習を進めるうえでまず最初に気をつけること
司法試験の論文では、各科目に特有の「出題傾向」があります。
ある科目の論文対策として、何を、どう勉強するべきかは、「出題傾向」との関係で決まってきます。
したがって、まずは、おおまかな形でかまいませんので、労働法の出題傾向を把握することから学習を進めることになります。
2.労働法の出題傾向とこれに対応するための勉強方法
労働法の試験で問われていることのほとんどは、判例の正確な理解と知識であり、基本7科目に比べて現場思考の要素が非常に少ないです。
理論面では、判例の理由付け・判断枠組み(規範+判断要素)を正確に示すことが、
当てはめでは、判例がいかなる事実関係に着目して規範、さらには各判断要素についてどのような評価をしたのかまで意識して論述することが求められています。
したがって、労働法では、判例について、上記の出題傾向を意識して学習することが非常に有益です。
なお、平成25年の採点実感では、
『司法試験が実務家となるための試験であることを踏まえれば、たとえ判例と異なる立場に立つとしても、判例で示された判断の枠組みに言及できていない答案は、これに言及している答案に比して、高い評価を得られないことを十分に認識してほしいところである』
ということを指摘されており、この指摘内容からも、労働法の試験では、現場思考ではどうにもならず、判例の判断枠組みへ言及が必須であるということが分かるとともに、判例と異なる立場の学説の学習は、判例の理解を深めるうえで必要な限度にとどめるべきであるということが言えます。
3.お勧めの書籍
基本書としては、『プラクティス労働法』(山川隆一、新山社)が非常にお勧めです。
そのうえで、『プラクティス労働法』に掲載されている重要判例については、「ケースブック労働法」(弘文堂)で、判例の判断枠組みを意識して、判例がいかなる事実関係に着目してどのような評価をしたのかを学習すること、司法試験に必要な労働法の実力をしっかりと身につけることができます。
4.労働法は、出題範囲や個々の判例について覚えるべきことが多いですが、判例の正確な理解・知識さえ身につければ、安定して上位答案を書くことができるようになります。
頑張ってください!
2015年7月27日