ご指名ありがとうございます。
伊藤建です。「健」ではないのでご注意ください笑。
89条違反の審査については、第3小法廷が箕面忠魂碑で別系列に整理しようとしたところ、最高裁大法廷が愛媛玉串料事件判決で「20条3項と同様の基準によって判断」するとして、目的効果基準を適用しました。
しかし、第3小法廷に所属していた園部裁判官は、同判決の意見として、89条違反のみを直接審査し、20条3項違反は憲法判断回避の原則より行うべきではないと述べました。
その後、空知太神社事件判決において、最高裁大法廷は、園部意見に従って、事案を89条と20条1項のみで処理をして、20条3項違反を検討しませんでした。
このとき、89条違反として目的効果基準を適用しませんでしたので、厳密には、89条は分離されたと読むことができます。
これまでの経緯は、受験新報2016年8~9月号の私の連載に書いてあるので、詳しくはそちらをご参照ください。
一般的な事例問題では、適用される条文が何かを分析することで、事案にフィットした判断枠組みを適用するべきでしょう。
それが目的効果基準であっても、勝負はそこで決まるわけではなく、実際に当てはめと、政教分離原則の趣旨に関する考え方が重要です。
基準ばかりに目を取られるのはナンセンスですから、好きなものを使えばいいのです。
2017年2月27日