解除後の第三者について

解除後の第三者についてですが、解除の効果について、直接効果説に立った場合、復帰的物権変動(ないし、復帰的物権変動類似)を観念できるのですか?
論証を作成する際に疑問となったので、ご返答よろしくお願いします。
未設定さん
2015年6月9日
民事系 - 民法
回答希望講師:伊藤たける
回答:1

ベストアンサー ファーストアンサー
内藤慎太郎の回答

あまり、そこでは復帰的物権変動という言葉は使わない気がしますが、類似の考え方は可能かと思います。
まず、言葉にこだわるより理解を重視しましょう。
A→Bと目的物が譲渡され解除されたのちに、Cが目的物を買い受けたとしましょう。
直接効果説からは、解除により不当利得返還義務が生じています。他方、解除後の第三者も目的物引渡請求権を有しています。
そうすると、A←B→Cという二重譲渡類似の関係になるので、Cは、177条の「第三者」(CからみたAも同じ)にあたり、対抗関係にたち、AもCも自己の所有権を登記なくして相互に対抗できないと考えるのが、現在の
通説です。なお、択一知識としては、判例は解除後の第三者に権利保護要件としての登記を要求している点は択一知識として別途おさえておいてください。

2015年6月10日

なお、直接効果説から発生する不当利得返還義務の根拠条文は、703ではなく、545条1項本文ですので、論文で書く際はご注意下さい。

2015年6月10日


未設定さん
本当に丁寧なご返答ありがとうございます。

参考答案や、予備校のテキスト等で、「解除の遡及効も法律による擬制であり、復帰的物権変動変動を観念できる」というフレーズが用いられているので気になって質問させていただきました。

二重譲渡類似の関係から対抗問題と考え登記を要するという流れで大丈夫ですかね?

2015年6月10日

そのフレーズでも別に✖️ではありませんが、解除により、Bに不当利得返還義務が生じ、さらに第三者への引渡し義務があることで二重譲渡類似の関係になるので対抗問題となる、と理解して書けば、覚えた論証の吐き出しではなく理解が伝わりますので、良い評価につながると思います。

2015年6月10日


未設定さん
ご返答、ご丁寧な解説ありがとうございます。

やっとすっきりしました。

今後答案作成の際に意識します。

2015年6月10日