行政裁量に言及するのはどのような場合?

行政法の裁量についてなのですが、新司の問題の本案の主張などでは、裁量論を使わなくても、根拠法規の行為要件を、法令の趣旨目的に照らし解釈し、違法と基礎付けることができることが多いです。

他方で、必ず裁量に言及し、問題となっている根拠法規に裁量は有る無いで主張を闘わせる答案もありました。
今まではとりま裁量認定しとけ!的な感覚だったのですが、
行政法で裁量に言及すべき場合は、どのような時ですか?
2016年5月10日
公法系 - 行政法
回答希望講師:伊藤たける
回答:1

ベストアンサー ファーストアンサー
伊藤たけるの回答

ご指名ありがとうございます。
伊藤たけるです。

「とりあえず裁量」というのは全くの誤りです。
ただ、論じるべきかの「基準」というものは、残念ながら明確に規定できません。

基本的には、法的三段論法により、法令の要件を解釈するのが基本です。
しかし、法令が裁量を認めている場合には、法令の要件を裁判所が解釈することが困難です。
そのため、法令の文言、制約している権利利益、政策的・専門技術的裁量などから、個別的・具体的に検討するしかないのです。

それ以外に顕著なのは、法令の委任を受けていない行政基準があった場合でしょう。
この行政基準が裁量基準なのか、行政指導指針にすぎないのかは、行政裁量の有無に左右されます。
(参照)行政基準のフレームワーク
https://wisdombank.co.jp/courses/view/51

たとえば、平成23年、平成26年、平成27年は、委任のない行政基準が問題となっている印象ですから、このような問題では、条文の解釈として裁量論を論じるべきことになります。

2016年5月10日


匿名さん
基礎版無料視聴を逃してしまいました泣
たしかに、裁量基準と認定するには裁量権認定が必須なので、そこは分かります。

平成18年新司では、地域に合わせた個別的事情の判断という観点から、2項道路指定には市長の裁量が認定できそうです。しかし行政法ガールの解答を見ると、無効事由の主張として、一切裁量権に触れずに、法の趣旨の反するという最終評価を行っています。
こういう部分で裁量に言及するかしないかがイマイチ分からなくて

2016年5月12日