共同正犯と過剰防衛

こんばんは。

正当防衛と共同正犯の判例であるデニーズ事件(平成6年12月6日)についてご教授ください。

仮に同様の事案で、正当防衛の共同後の違法行為について新たな共謀が成立していた場合を想定します。

その場合には、さらに過剰防衛の成否が問題になると思うのですが、

判旨の通り一連一体の行為として評価できる以上、量的過剰の規範(両行為の時間的場所的連続性、心理的連続性・共通性、方法・態様の類似性)を用いることなく、
質的過剰として過剰防衛の成否を検討するのでしょうか。

本番前にして理解が不十分なところなので、是非ともご回答ください。

よろしくお願い致します。
未設定さん
2016年5月9日
刑事系 - 刑法
回答希望講師:内藤慎太郎
回答:1

ベストアンサー ファーストアンサー
内藤慎太郎の回答

本番が終わった後で申し訳ありません。
(出題はなかったようで良かったですが)

本判決では「本件のように、相手方の侵害に対し、複数人が共同して防衛行為としての暴行に及び、相手方からの侵害が終了した後に、なおも一部の者が暴行を続けた場合において、後の暴行を加えていない者について正当防衛の成否を検討するに当たつては、侵害現在時と侵害終了後とに分けて考察するのが相当であり、侵害現在時における暴行が正当防衛と認められる場合には、侵害終了後の暴行については、侵害現在時における防衛行為としての暴行の共同意思から離脱したかどうかではなく、新たに共謀が成立したかどうかを検討すべきであつて、共謀の成立が認められるときに初めて、侵害現在時及び侵害終了後の一連の行為を全体として考察し、防衛行為としての相当性を検討すべきである。」

とされています。

「共謀の成立が認められるときに初めて、侵害現在時及び侵害終了後の一連の行為を全体として考察し、防衛行為としての相当性を検討すべき」とされていますので、新たな共謀が成立する場合には、新たな共謀後の行為まで一連とみることになります。
そうすると、侵害終了後にも攻撃を加えている本件では、仮に新たな共謀があるのであれば量的過剰になると思います。

量的過剰に関しては、よほど複雑なケースでない限り、単純に「侵害終了後も攻撃を続けたかどうか」で考えたほうがわかりやすいと思います(書くときも基本的にそれで、十分です→百選27、解説1の第一段落「相手方が侵害行為を止めたにもかかわらず、引き続き攻撃を加えた場合」を質的過剰という。)。

2016年5月17日