労働組合側の協約締結権限としては、協約締結者が「組合規約の規定による直接の授権がない場合には、組合大会などによる授権手続を経る必要がある」(速修339頁)と説明されます。
ですので、「対外的」には、「組合大会」があれば授権が認められます。
平成19年第2問における運転手班別集会の開催・意見集約は、「組合大会」についての内部的な定めにすぎないいので、これは組合の「内部的」な問題にとどまり、「対外的」な授権の有無・効力のレベルの問題にまでは波及しません。
会社法の代表取締役の代表権に置き換えて説明しますと、ある取締役が代表取締役として会社代表権を有するためには、取締役会での選定決議がれば足り、内部的な代表権の制限は原則として第三者に対抗できない(=対外的な問題にまでは波及しない)ということと同じように考えて頂ければと思います。
取締役会での選定決議が「組合大会」、代表権の内部的制限が「運転手班別集会」というイメージです。
したがって、平成19年第2問では、協約締結権限は認められます。
2016年2月15日