構成要件該当性が認められる場合、違法性が推定され、違法性阻却事由がない限り、違法性が認められます。
したがって、構成要件該当事実の認識がある場合には、原則として、自己の行為が違法であることを基礎づける事実の認識があることになります。
だからこそ、例外的に、違法性阻却事由の存在についての認識がある場合には、自己の行為が構成要件に該当するにもかかわらず違法ではないという認識を有していることとなり、故意非難の可能性を欠き、責任故意が阻却されるわけです。
なので、責任故意の段階で、違法性を基礎づける事実の認識があるかどうかを問題にするのは、間違いです。
違法性の評価について認識しているかどうかは別として、違法類型である構成要件に該当する事実の認識を有する以上、違法性阻却事由の存在についての認識がないかぎり、自己の行為が違法であることを基礎づける事実の認識があることになるからです。
2016年1月11日