有害表現すべてではありませんが、名誉毀損、わいせつなど、一定の類型を「定義」することで表現の自由の保護範囲から除外する手法は、定義づけ衡量と呼ばれています。
定義づけの段階で利益衡量が済んでいるため、保護範囲から除外されます。
これにより、明確性を担保するというメリットがありますが、本当に明確と言えるのかは議論があります。
わが国の判例は、定義づけ衡量に近い手法ではあるものの、定義があいまいである点が批判されています。
そこで、伊藤正己裁判官が、最3小判昭和58年3月8日刑集37巻2号15頁の補足意見で、ハード・コア・ポルノと準ハード・コア・ポルノの2類型を提唱していますが、多数意見には取り込まれていませんし、これ自体も準ハード・コア・ポルノについては明確性がないとの批判もあります。
2021年5月12日