ご教示ありがとうございます。刑法の受験本については流石に記憶がおぼろげですが,こちらは本当に抽象的事実の錯誤の問題なのでしょうか?
改めて整理をし直すと,器物損壊についてのその肢は錯誤について論じたものじゃないのではないかと思います。
例えば,犬を殺そうとしてピストルを撃ったが,弾が飼い主に当たってしまった場合です。この場合,ピストルを撃った時点で器物損壊の現実的危険性を有する行為が行われたといえ,実行に着手していますので,実行行為性は認められますが,器物損壊(財物である犬の死亡)という結果は生じていないので未遂に終わる,ということです。
強いて錯誤に引き付けるならば,具体的事実の錯誤のうち方法の錯誤ということになるでしょうか。
客体が始めから人であれば,器物損壊については仰る通り不可罰になり,あとは過失致傷罪の検討になると考えます。
2021年2月2日